ATARI MUSIC STUDIO

ピアノを中心に様々な曲を編曲・演奏します。ブログでは音楽関係のつぶやきを中心に書き込みします。
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楽譜の読み方 超基礎編!(その3)

2021年04月28日 | 日記

今回は楽譜が読めるようになるコツについて、もう少し突っ込んだ詳しいお話をさせていただこうと思います。

1.音符・休符について
音符や休符は、小節線と小節線の間に書き込まれています。
例えば、四分の四拍子で四分音符(♩)1個が1秒間(♩= 60)の時間的長さとした場合、1小節演奏すると4秒が経過することになります。小節線はリズムの役割を担っているため、一定のリズムになるよう、全ての小節は同じ時間間隔になります。
小節線と小節線の間隔は必ずしも同間隔である必要はありませんが、すべての小節は必ず4秒間になるように、音符や休符が書き込まれています。

小節線と小節線の間は、最初は音符や休符を入れる箱のように感じると思いますが、楽譜に慣れてくると小節線がリズムの頭、と捉えられるようになると思います。
ちなみに、小節は「1小節」「2小節」と数えます。

音符・休符は時間軸を表現しています。
休符は時間軸だけですが、音符は音程と時間軸を、両方同時に表現しているのです。


2.音符の棒の付き方について
おたまじゃくしの右横には縦に棒線(♩)が書かれることが多いですが、おたまじゃくしの上に伸びる場合と、下に伸びる場合があります。
おたまじゃくしの上に伸びる棒は、おたまじゃくしの右側から上にのびます。
おたまじゃくしの下に伸びる棒は、おたまじゃくしの左側から下にのびます。
棒が上にのびるか下にのびるかについては、「五線の真ん中から上に音符がある時は下にのびる」というルールがあると、ひとまず覚えておくとよいでしょう。(ひとまずって何?w)

(画像の転載元はこちら→ 音符 - Wikipedia

3.音符や休符の位置について
音符は五線のどの位置に置くのかについては厳格で、「線と線の間」か「線を中心とした真ん中」のどちらかに書き入れるルールです。
また、楽譜は横軸が時間経過なので、時間経過がわかりやすくなるように、手書きの楽譜の場合などは、音符同士の間隔にも注意する必要があります。

休符は五線の真ん中(上から3番目、下から3番目の線)を基準にして書き込まれます。音符がどの位置にあろうとも、休符は必ず五線の中に書かれることが多いです。
上の図は、描画ソフトを使って作成していますが、真っ白いキャンパスに見やすい楽譜を描こうとすると、意外と難しいなと感じました。
楽譜ソフトを使って作成する楽譜は、そのあたりを自動で調整してくれるので便利なのですが。

音楽制作ソフト(Logic)の楽譜表示


楽譜の読み方 超基礎編!(その2)

2021年04月24日 | 日記

前回、「音部記号、調号、拍子記号、小節線、終止線」の5つが楽譜を構成する要素です、というお話をさせていただきました。
今回は楽譜の読み方第2弾!「ト音記号(G clef)とヘ音記号(F clef)」の2段をひとまとめにした「大譜表」についてお話させていただこうと思います。

ト音記号が書かれた五線(高音部譜表)は、ヴァイオリン、トランペット、フルート、オーボエなど高い音の楽譜に使われます。
ヘ音記号が書かれた五線(低音部譜表)は、チェロ、コントラバス、トロンボーン、ファゴットなど低い音の楽譜に使われます。

ピアノはかなり低い音から高い音まで出る楽器です。
ト音記号またはヘ音記号だけの五線には音域が収まりきらないので、2段の五線をまとめて使います。

上の五線にト音記号、下の五線にヘ音記号を書いて、2段の楽譜が同時進行する楽譜であることを表現するために、五線の左端に括弧を付けます。この2段形の楽譜は「大譜表」と呼ばれます。ピアノの楽譜は、この「大譜表」を使います。小節線も、上下2段をぶち抜いて書き入れます。

五線に収まりきらない音符には短めの「加線(かせん)」を引いて音符を書き入れます。加線は、五線の間隔を意識して等間隔に配置するのが理想です。
ヘ音記号の五線下に加線を2本引いた音符は、低い「ド」(C1)になります。
ト音記号の五線上の加線を2本引いた音符は、高い「ド」(C5)になります。

ト音記号が書かれた五線下に加線を1本引いた音符「ド」(C3)と、ヘ音記号が書かれた五線上に加線を1本引いた音符「ド」(C3)は同じ音になりますが、この加線だけは、ト音記号側に付いたりヘ音記号側に付いたりして、上下位置が定まっていません。ちょっと不思議な感じがしますが、右手で弾く「ド」なのか、左手で引く「ド」なのかを表現することができるので、この部分についてはちょっと慣れが必要です。


楽譜の読み方 超基礎編!(その1)

2021年04月20日 | 日記

今回は楽譜が読めるようになるコツについて、少しご紹介させていただきたいと思います。
そのために、まずは楽譜を構成している5つの要素を覚えておく必要があるのですが、言い換えれば覚えることは「この5つしかない」のです。この5要素は、『楽譜として成立させる』ための最低条件でもあります。


1.音部記号
 楽譜の左隅に書かれた「ト音記号」や「ヘ音記号」などです。「だいたいの音の高さを指定している記号」だと思ってください。(だいたいってww)

2.調号
 ハ長調、イ短調には調号がありませんが、ト音記号の右隣には♭や♯を書いて、これから始まる曲の調性を宣言します。ト長調なら♯が1個、ヘ長調なら♭が1個付く、といった感じです。

3.拍子記号
 四分の四拍子(4/4)など、曲のリズムを決めます。調号の右隣に書きます。調号がない場合は、音部記号の右隣に書きます。四分の四拍子(4/4)は「C」と略して書くこともできます。

4.小節線
 五線譜を縦に区切っている小節線を入れます。小節線と小節線の間(小節と言います)に音符や休符を書き入れます。
『一番最初の小節線は拍子記号の右隣に必要なのでは?』と思うかもしれませんが、一番最初だけ「透明な線」が入っていて見えません。(嘘ですw「最初は小節線を入れない」が正解です)

5.終止線
 ここでこの曲はおしまい、という意味の二重線を書いて、曲の終わりを表現します。


私たちがよく目にする「楽譜」が考案されたのは、ルネサンス以降と言われています。15世紀頃、ほぼ現在の楽譜の形になったと言われています。
それまでは、文字だけでメロディーラインや音の上下を表現するようなものから始まり、四線譜や五線譜で正確な音程を表現できるネウマ譜(主に教会音楽用)が誕生します。
やがて音符や休符が考案され、時間軸に沿って正確にリズムが表現できるようになり、小節でリズムを区切る方法が発明され、現在私たちが目にする「楽譜」という形になりました。

「楽譜を読める」ということは、すなわち「楽譜を成り立たせている構成要素を知っている」ということに他なりません。
楽譜が読めるようになれば、楽器演奏への道へ階段を一段登ることができますしね!
何度も何度も繰り返し練習をし、楽譜に書いてあることを演奏できるようになるまでには、果てしなく険しい道のりですが・・・


『ト音記号』ってなあに?

2021年04月08日 | 日記

今回は音楽用語 超基礎編!ト音記号(G clef)についてお話させていただこうと思います。
ト音記号は音楽用語のひとつで、「高音部記号(Treble clef)」とも呼ばれます。

五線紙の上にト音記号を書くと、その楽譜は「高音部譜表(Treble Staff)」となり、「五線の下から2番目の線上をソに指定します」という意味の楽譜になります。
(高音部譜表にならないケースもありますが、それはひとまず置いておきます)

楽譜は左から右に読んでいくため、ト音記号は最初に音の高さを示す記号として、五線の一番左に書かれることが多いです。「ソ」を日本語の音名で言うと「ト」になるので「ソ(G)を指定した記号=ト音記号」というわけです。

「ト」とか「ヘ」とか、なんなの?と子どもの頃は不思議に思っていました。
「いろはにほへと」をカタカナにした「イロハニホヘト」の中の「ト」とか「ヘ」だとわかったのは中学生頃だったと思います。それまで「ト音記号」は「トーン記号(Tone sign)」だと思っていました・・・

「ドレミファソラシド」の音名に対して日本語の「いろはにほへと」を当てはめていたんですね。
ちなみに「ドレミファソラシド」はイタリア語です。
英語の場合は「ABCDEFG」になります。英語の音名は単純にAからアルファベットだったんですね。
で、日本語の場合は「いろはにほへと」になるというわけです。
それぞれの関連性は以下の通りです。

A(英語)...イ(日本語)...La(イタリア語)ラ
B(英語)...ロ(日本語)...Si(イタリア語)シ(発音的には「スィ」が近い)
C(英語)...ハ(日本語)...Do(イタリア語)ド
D(英語)...ニ(日本語)...Re(イタリア語)レ(巻き舌発音 RRRe)べらんめぇ調が近い
E(英語)...ホ(日本語)...Mi(イタリア語)ミ
F(英語)...ヘ(日本語)...Fa(イタリア語)ファ
G(英語)...ト(日本語)...Sol(イタリア語)ソ

この対応表が頭に入ってくると、「ハ長調」は英語で「C major」(シーメジャー)になるんだな!
と意味が繋がってわかるようになります。

音楽大学では、音名をドイツ語で発音することが多いので、ついでにドイツ語音名も追記しておきましょう。

イ(日本語)...A(英語)...A(ドイツ語)発音は『あー』
ロ(日本語)...B(英語)...H(ドイツ語)発音は『はー』
ハ(日本語)...C(英語)...C(ドイツ語)発音は『つぇー』
ニ(日本語)...D(英語)...D(ドイツ語)発音は『でー』
ホ(日本語)...E(英語)...E(ドイツ語)発音は『えー』
ヘ(日本語)...F(英語)...F(ドイツ語)発音は『えふ』
ト(日本語)...G(英語)...G(ドイツ語)発音は『げー』

ドイツ語もアルファベット表記になりますが、英語で「B」の部分だけ「H」になります。
発音も英語は「えーびーしーでぃーいーえふじー」ですが、ドイツ語の発音だと「あーはーつぇーでーえーえふげー」になります。
ドイツ語ではBは(べー)、Hは(はー)と発音します。

ドイツ語音名の場合、ちょっと注意が必要で、英語音名でBは、ドイツ語音名でHになること。
ドイツ語音名「B(べー)」の場合、英語音名で「B♭(びーふらっと)」の意味になり、日本語音名なら「変ロ(へんろ)」です。ちょっとややこしいですね^^;

「え-の音ください」と言われたら、音大生や音大出身者なら間違いなくE(ミ)の音を連想するでしょう。
ジャズやバンド出身者は、英語音名の方に慣れてらっしゃることもあり「え?A(ラ)じゃないの?」となり、話がごちゃごちゃになることも(笑)

蛇足ですが・・・
ドイツ車のBMWをドイツ語でそのまま発音すれば「べー・えむ・う゛ぇー」となりますね。たまにBMWを「べんべ」と発音する人がいるのは、そのせいですね^^
ちなみに、こちらもドイツ車ですが「フォルクスワーゲン(Volkswagen)はドイツ語発音に近いですね。
Volks(人々)、wagen(車)、Volkswagenは日本語訳で「国民車」という意味になります。


平均律とミーントーン(中全音律)

2021年04月01日 | 日記

今回は主に音律について、少しお話させていただこうと思います。
少し難しい内容も含まれますが、どうかお付き合いください。

現在私たちが普段耳にしている音楽(歌謡曲やポップス、ジャズ、ロックなど)は「12平均律」の音律で正しく調整されたサウンドです。
12平均律(equal temperament)とは、オクターブ(ドから上のドまで)を12等分し、ド以外の音の高さを決める音律です。
「12平均律」はオクターブ間の半音間隔を等しく100セントとしたため、「ロ長調」「変ト長調」など、シャープや♭がたくさんつくような、どんな難しい調性で演奏したとしても音律破綻を生じません。

「そんなのあたりまえじゃん!」

と現代人はつい思いがちですが、200年ほど前までは、平均律よりもっとメジャーな音律があったことをご存じでしょうか。
例えば、モーツアルトやベートーベンが活躍していた時代は「ミーントーン(中全音律)」で調律されたピアノが主流でした。

「あれ~?バッハってモーツアルトよりも前に生きた人だよね?バッハは「平均律クラビーア」を作曲してるけど?いったいどういうこと?間違ってない??」

と思う方はかなりクラシック音楽に精通してらっしゃる方でしょう。その通りで、J.S.バッハは18世紀ドイツで活躍した音楽家です。


J.S.バッハ(画像の転載元はこちら→ ヨハン・ゼバスティアン・バッハ - Wikipedia

バッハが生きていた時代にベートーベンはまだ生まれていませんし、バッハが亡くなった年にモーツアルト少年はまだ5歳。

様々な研究が進んでいて、平均律クラビーアの「平均律」は現代で言うところの「12平均律」を指していたわけではない、というのが最近の通説です。クラシック専門家のあいだでもあまり知られていないようなので、知っておくと得することがあるかも(?)です。


平均律クラヴィーア曲集第1巻 バッハ自筆譜の表紙
(画像の転送元はこちら→ 平均律クラヴィーア曲集 - Wikipedia

バッハは1740年前後で平均律クラヴィーア曲集を作曲しています。
表題(Das Wohltemperirte Clavier)のドイツ語訳は「様々な調で演奏可能となるように良く調整された鍵盤楽器のために」となります。
「平均律クラビーア」という表題にしても、元々は出版社側の都合によって付けられたものです。
ですが、平均律クラヴィーア曲集「第1集」も「第2集」も全ての調性で1曲ずつ作曲された24種調性曲集となっているため、「平均律」という出版社が付けた表題も、あながち的外れではなかったのでしょう。

この表題は「様々な調性において演奏可能な、ヴェルクマイスター音律のことを指しているのではないか?」というのが現代解釈となりますが、あるいは遠い未来に、全調で破綻のない音律が登場することを想い描きながら作曲していたのかもしれません。(すごい妄想・・・)

お話をミーントーンに戻します。
ミーントーン(中全音律)は、完全5度音程にうねりのない純正律に近く、長3度音程(メジャーコード)の響きが美しいのが特徴です。
ド-ソ、ソ-レ、レ-ラ、シ-ファ#のそれぞれの五度音程に関してだけは、1/4コンマ狭められていて、少しうねりが発生します。

12平均律と違い、どの調性で演奏しても破綻がない音律というわけではなく、♯が3つあるいは♭が2つより多い調は演奏不可能です。
詳しい説明は省きますが、ソ#-ミ♭は「ウルフの五度(Wolf interval)」と呼ばれ、とっても音痴な音程(異名同音破綻)が含まれているためです。

パイプオルガンやピアノ、クラビコード、ハープシコードなどの鍵盤楽器の類いは、いったんミーントーンで調律してしまうと、鍵盤の音程を変えることができません。
そのため、♯が3つあるいは♭が2つ以下の調で作曲されることが一般的でした。

♭#がない調・・・ハ長調  イ短調(C  major, A  minor)
♭が1つの調・・・ヘ長調  ニ短調(F  major, D  minor)
♭が2つの調・・・変ロ長調 ト短調(Bb major, G  minor)
#が1つの調・・・ト長調  ホ短調(G  major, E  minor)
#が2つの調・・・ニ長調  ロ短調(D  major, B  minor)
#が3つの調・・・イ長調 嬰ヘ短調(A  major, F# minor)

古典派時代までのクラシック音楽、特に鍵盤楽器作品は、上記調性のいずれかで作曲されることがとても多いです。
それ以上調号が増えると、鍵盤楽器では演奏不能になってしまうためですが、そう考えるとベートーベンのピアノ協奏曲第5番(変ホ長調)の出だしなど、当時は相当画期的なサウンドだったのだろうと妄想しています。
この頃になると、ミーントーン調律を脱却し、新しい音律(ヴェルクマイスターIII)などが試されていた時期だったのではないかと推測できます。

 

ここまでの小難しい話をものすごく、簡単に、ざっくりと要約すると・・・

「昔はドミソの和音がとても綺麗だった」

ということです。