ショートショートの作り方を指南したYouTubeが
あったので、幾つか拝見し、見よう見まねで
ショートショートを作ってみました。
名詞を10個
その中の一つの名詞から連想する言葉を数個
二つを組み合わせ、不思議な言葉を作り
メリット、デメリット、他にどんな
特徴があるか書く。
そこから想像を膨らませていく。
そうして出来上がったのが
翡翠の初ショートショート
「365日の急須」ですヾ(≧▽≦)ノ
ちょっと長いので、気が向いたら
読んでくださいませ☆彡
「365日の急須」
弘法市で気になる急須を見つけた。
じっと眺めていると店主がしげしげと
私の顔を眺め、そして説明を始めた。
「お嬢ちゃん、これはな 365日の急須と言って
毎日色んなお茶が飲めるんだよ。」
「ええ~と、つまり毎日違う茶葉を入れると
そうなりますよね?」
「違うよ、お湯を入れたら勝手にお茶になるんだよ」
色合いは黒に近い茶色、常滑焼の急須に見える。
値段は1000円、格安だ。
この値段なら、気に入らなくても別に良いかと思った。
「じゃあ、それ下さい。」
店主は透明のプチプチに包んで、うやうやしく
手渡してくれた。
「お嬢ちゃん、これは毎日違うお茶が飲めるけど
同じお茶は二度と飲めないよ。それだけは
覚えておいてね。」
だから何だろう?不可解に思いながら店を後にした。
家に帰り、早速お湯を沸かし急須に入れてみた。
数分で、湯は若草色に染まった。
ああ、新茶だ!この香りは静岡茶だろう。
味の宇治、香りの静岡と評されるほどの特色を持つ。
翌日もお湯を入れてみた。
おや?これは何だろう。
その香りと味は、鹿児島の祖母が淹れてくれた
知覧茶の懐かしい味がした。
次の日のお茶はかなり複雑な味だった。
数年前に彼氏と別れ話をしたときに、切なさと悲しさで
飲み干したあの味だった。
私は毎日毎日飽きもせず、湯を注いてお茶を楽しんだ。
時には、同僚が淹れてくれる渋いお茶だったり
淹れ方の分からない妹が出す薄いお茶だったり
当たり外れはあるものの、小さな楽しみになっていった。
365日目にあたるその日、
私はいつものようにお湯を入れた。
その日のお茶は、今までにない衝撃的な味だった。
何これ?すごく美味しい!
お茶は大好きで、それなりに通だったが
この日のお茶は格別だった。
言葉にならない、例えようがない。
私は、探し求めていたお茶に出会い有頂天になった。
私、毎日このお茶を飲みたい。
でも思い出したことがある。
店主が言っていた、同じお茶は二度と飲めない。
ああそうだった。
私は肩を落とした。
そういえば、茶席の禅語で「一期一会」
というものがあったな。
私は365日の急須の腹をそっと撫でて
机に置いた。
(了)
何となく、ショートショートに
なってるんじゃない(・・?
田丸式ショートショートメソッド
なかなか面白いです☆彡
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