以前にも試写会で観たのですが(確か去年の年末か?)
DVDで最近発売されたというのでレンタル。
小泉今日子さんと元旦那の永瀬正敏さんの共演が話題を呼んだ
西原理恵子さん原作の
「毎日かあさん」です。
キョンキョンと永瀬さんのやり取りの空気感が本当に自然。
流石に色眼鏡もちょっと入って観てしまうであろう僕等を
あっさりと映画の世界の中に引き摺りこんでしまうのは
ひとえにこの人たちのナチュラルに見える演技によるものでしょう。
ってか、永瀬さんの鴨志田さんが見事なクズっぷり。
(えっと、この場合褒めてるんですよ、本当に)
キレるわ、酔っ払いぶりは見事だわ、
だめんずな夫を「この人は本当はこんな人なのではないか」と
思わされるくらいに見事でしたよ。
そして、それに対するキョンキョンもナチュラル。
ちょっと面倒くさがりな一面を持っていたり
それでも母親しているリエコをゆるく演じています。
子供たちと一緒にいる姿がとてもいいんですよ。
鬼気迫る生活だったのだろうな、と思わせる部分も
原作からも感じられる作品の空気感と、
このふたりを中心にした役者の演技とで
笑い溢れる家族の中に
そういう部分がしっぽり収まってる風に見えるのだから不思議。
役者といえば、実際には高須クリニックの院長にあたる
(アル中が治ったらやり直すと言ってあげなとリエコに諭す部分は
高須院長が言った言葉だそうです)所の役を編集者として
古田新太が演じてるのですが、これも本当にいい味。
何だか古田さんっていい大人、いい役者になったなぁ…。
原作をある程度読んでいたので、内容はわかっていたけど、
やっぱり鴨志田さんが、最後の病床で西原さんに「ありがとう」というくだりは泣けました(T . T)
最後、こういう風になっていくのは分かっていたんだけどね。
西原理恵子の原作には、どれも不思議な空気感があって、
「パーマネント野ばら」の時にも思ったけど、
監督は何とかして、その世界観を描こうとしているような気がした。
それは、この映画に出て来る藍色の海のような世界なのかもしれないと思った。
海の藍色はグラデーションの中で、地平線の一歩手前の色として描かれている。
きっとそれは日常というものと、非日常の境い目だったり、あるいは出会いと別れだったり、笑顔と涙だったり、いろいろなものの境い目だ。
西原理恵子の世界はいつもその境い目にあると思う。
そこに揺れる波の早さを感じさせない美しさを見せながら、
いろいろなものが渦巻いている。
人のココロはそんなふうに出来ているのだろうな、と思う。
だから彼女の作品は愛されているのかもしれない。
そんな事を考えたのでした。