昨日難波ベアーズでのライヴを終えました。
秋紀の中ではベストパフォーマンスでありました。
そのライヴをするにあたっての音楽の作り方について書きます。
いつも準備をライヴ前、早くからしていきます。そのなかに作曲行為といったものがあります。
作曲行為とはいわゆるスコアを作ることです。スコアといっても楽譜、譜面ではありません。秋紀は楽譜が読めません。従って段取り表のようなものを想像してもらえるとそれに近いかと思います。
スコアを作る時は、今あるSP404のサンプルで演奏を繰り返します。全体の流れを客観視しながら構想を練っていきます。
単純にサンプラーを鳴らしているのは楽しいものです。楽器を鳴らしながらどういった可能性があるかどうかを見ていきます。
どういうふうに可能性を探るのかというと、SP404にはエフェクトがものすごく充実しているので、サンプルを演奏しながらそのエフェクターで音色を変えるのです。その作業の中からいろんな音のパレットを広げていきます。たくさんの絵の具があるといい絵が描けます。表現力も上がります。それを広げていくのです。
その作業をしながらほかに何か足らないものはないかと考えます。
一度入れたサンプルがいくら変化できるといっても元の音が全く変わるわけではありません。そこで他の音がいるのかどうかを考えていくのです。
もしその足らない音がはっきりするとそれを録音してProToolsで加工してサンプラーに入れます。
最近録音する音はギターです。ギターを歪み系のHYPER Metal(現在は廃盤、似ているものはMT-2)とか、TURBO Distotionにつけてアンプを通してシールドでmacのProToolsに入れるとProToolsのプラグイン(エフェクト)で空間系を効かせて録音していくことが多いです。たまにROLANDのSH-01という超アナログシンセで音を作ってこれもProToolsに録音、加工していきます。
そして新しいサンプルを加えて再び演奏を続けながら全体の流れを考えていきます。
流れとは、紆余曲折のようなものです。淡々と流れるのではなく、ゆっくりとした速度からテンポが変わったり、ちがう音が立ち上がったりと終わりに向けて流れが切れないように、しかも変化する旅といった感じです。
それを作ると、さらに練習と修正が繰り返されます。
それをもっていよいよライヴに望みます。
しかし、その作ったスコアを見ながら演奏というのではなく、またもやこれを乗り捨てて演奏していくのです。
使うものは決めてあります。導入部も決めています。しかしそこに全て頼るような演奏だとそこからミスしないようにと自分が窮屈になっていくように感じてしまうのです。少なくとも秋紀はその場で作っていく作業をライヴでしていきたいのです。
そのため演奏が始まると導入部から入ってあらかじめ決めてある順序で演奏は進んでいきますが、徐々にそこから音楽は逸脱していきます。
あらかじめ決めてあるいくつかのパターンを使ってその場で再度編曲、編集、作曲しながら演奏していくのです。決して流れを切らさないように、その音楽を押し進めていきます。
腹に力を入れてぐーっと音楽を進めていきます。これはミスかもということは自分がよくわかります。お客様に伝わるかどうかは分かりませんが、すくなくとも自分には分かります。
流れははやくなったり、おそくなったり、切り刻んでいったり、テンポよくいったり、引っかかっていったりと変化させていきます。
その流れを自分でどこか第三者の目をどこか持ちながら演奏していきます。
持ち時間をにらみながら終わりに持ち込んでいきます。
毎回無事にライヴが終えられるかどうかはわかりません。しかしつくるということは少なくとも秋紀にとってはその場でつくること。あらかじめ用意したものを見せるのではなくて、その現場で作っていくこと。そのリアルタイムが創造することだと考えています。
当日使わないスコアをなぜ作るのかというと、スコアを作る段階で自分がしたい音楽が見えてくるからです。それはライヴ中も意識にあります。まったくライヴで即興というのではなく、前日までに積み重ねたスコアがあるからこそ、ジャンプができるのです。その過程をも含めた体感が必要です。
準備すること。それは即興を含めた創造することにつながります。