私が少年の頃、どうにも恨めしいクイズ番組があった。
それは「アップダウンクイズ」というクイズ番組。
何人かいる回答者はエレベーターみたいなものに乗っていて、問題が出題されて正解を答えると1段階ずつ自分の乗ってるエレベーターが上がってゆく。つまり「アップ」する。
だが、間違った答を言ってしまうと、それまで積み上げた「段階」は帳消しになり、一気にエレベーターは振り出しまで下がってしまう。つまり「ダウン」する。
1問間違っただけで、一気に奈落の底。
まちがえることなく正解を言い続けてエレベーターが無事に頂上に辿り着くと、ご褒美として「夢のハワイ旅行」がもらえる。
もちろん、分からない問題の時は、答えなくてもいい。
でも、結果を求めるあまりに、自信のない問題に答えて、まちがってしまう人は多かった。
頂上近くまで登っていた人でも、一度まちがった答を出して一気に奈落の底に落ちることもけっこうあり、人生の縮図のような(?)スリリングなシステムが受けたのか、かなりの長寿番組になった。
だが、少年だった私はこの番組が恨めしかった。
というのは、この番組の裏で、見たくてしかたない番組が放送されていたからだ。
その番組は「ウルトラQ」。
当時、テレビは一家に1台の時代。
たった1台しかないテレビのチャンネル権は親が握っていた。
私の親は、「アップダウンクイズ」のファンだったのだ。
チャンネル権のない少年だんぞうは、いつも裏の「ウルトラQ」が見たくて仕方なかったのだが、親が「アップダウンクイズ」を見ているばかりに、「ウルトラQ」は見れなかった。
もう、悔しくて悔しくて。
だから「アップダウンクイズ」は大嫌いだった。
いやなに、番組そのものがつまらない・・というのではない。この番組の存在が邪魔だっただけだ。
この番組が、ウルトラQの時間帯とかぶっていなければ、好きになっていたかもしれない。
だが、悲しいことに、我が家ではこのクイズ番組はウルトラQの前に立ちはだかってた。
そんなもんだから私は「アップダウンクイズさえ無ければ、ウルトラQが見れるのに!」
・・と、いつも複雑な思いで、恨めしげにテレビ画面を見ていた。
親がトイレなどに行って、一瞬席を外した時などは、ここぞとばかりにウルトラQにチャンネルを合わせていた。
だが、親が席に帰ってくると、また憎き「アップダウンクイズ」にチャンネルは戻すはめに。
つかの間の「ウルトラQ」だった。
ちょうど怪獣が出ている場面などで「アップダウンクイズ」にチャンネルを戻さねばならなかった時の私の落胆ぶり、分かってもらえるだろうか。
しまいには、「アップダウンクイズ」を提供してるスポンサーさえも恨めしく思ったもんだった。
もちろん、このスポンサーが「ウルトラQ」を提供していてくれたなら大好きだっただろう。
いっそ、この「アップダウンクイズ」が番組終了してくれないものかな・・と思ったもんだが、このクイズ番組ときたら長寿番組で、いっこうに終わる気配がない。
日曜の夜7時には、絶えず子供が喜びそうな番組が放送されてたのだが、放送された子供向け番組は、いつも大人の「アップダウンクイズ」に邪魔されていたのだった。
学校では、クラスメートたちが、月曜になると前日放送されたウルトラQの話で盛り上がっていた。
クラスメートの話題に入れない私は、疎外感も味わったし、ウルトラQを見ているクラスメートを羨望の眼差しで見ていた。
やがて。
親が新しいテレビを買い、それまで使ってた古いテレビは別の部屋に移された。
左遷のように。
でも、この「古いテレビの左遷」こそ、私が望んでいたことだった。
別部屋に置いた「古いテレビ」で、私は日曜夜7時から放送される子供向け番組を見れるようになった。
また、アップダウンクイズに邪魔され続けたウルトラQは、再放送された。
もちろん、もう見逃さなかった。
おかげで、ウルトラQはよく覚えている。
もし、親が新しいテレビを買わなければ、ウルトラQの後番組だった「ウルトラマン」も、リアルタイムでは見れなかっただろう。
親は相変わらずアップダウンクイズを見ていたし。
ウルトラマンまで「アップダウンクイズ」で邪魔されていたら、私の「アップダウンクイズ」に対する敵対心は、もっと強くなっていたかもしれない。
そんな事情があるから、アップダウンクイズは私にとっては「子供の敵」として心に焼き付けられた。
憎たらしくてしかたなかった。
子供時代の体験ってのは、深く心に刻み込まれ、トラウマになってしまう。
おかげで、今でも「アップダウンクイズ」という番組の名前が出たりすると、一種複雑な思いが心の中で浮かんでしまう。
もちろん、良いイメージは・・ない(笑)。なんとなく敬遠、そんな感じ。
げに幼児体験は恐ろしいのだ(笑)。
御存知のようにウルトラシリーズは、今も継続されており、次々と新たなウルトラヒーローが登場し続けている。
ウルトラQは、ウルトラシリーズの元祖番組として、今やリスペクトの対象になっている。
また、ウルトラQに出て来た怪獣のソフトビニール人形をはじめとするキャラクター商品は、今やプレミア値段がついており、今も人気は高い。欲しがる「当時の少年=今の大人」は今も現役。
それにくらべて「アップダウンクイズ」は?
あまり話題にも登らない。
歴史はウルトラQを勝者とした・・・そんな風に考えて、「大人になった少年だんぞう」は、日頃のうさを晴らして、溜飲を下げる・・・こともある(笑)。
あ、たまにですよ、たま~に。
例えば「なんでも鑑定団」という番組を録画しておいて、見た時などに、なのです。
それは「アップダウンクイズ」というクイズ番組。
何人かいる回答者はエレベーターみたいなものに乗っていて、問題が出題されて正解を答えると1段階ずつ自分の乗ってるエレベーターが上がってゆく。つまり「アップ」する。
だが、間違った答を言ってしまうと、それまで積み上げた「段階」は帳消しになり、一気にエレベーターは振り出しまで下がってしまう。つまり「ダウン」する。
1問間違っただけで、一気に奈落の底。
まちがえることなく正解を言い続けてエレベーターが無事に頂上に辿り着くと、ご褒美として「夢のハワイ旅行」がもらえる。
もちろん、分からない問題の時は、答えなくてもいい。
でも、結果を求めるあまりに、自信のない問題に答えて、まちがってしまう人は多かった。
頂上近くまで登っていた人でも、一度まちがった答を出して一気に奈落の底に落ちることもけっこうあり、人生の縮図のような(?)スリリングなシステムが受けたのか、かなりの長寿番組になった。
だが、少年だった私はこの番組が恨めしかった。
というのは、この番組の裏で、見たくてしかたない番組が放送されていたからだ。
その番組は「ウルトラQ」。
当時、テレビは一家に1台の時代。
たった1台しかないテレビのチャンネル権は親が握っていた。
私の親は、「アップダウンクイズ」のファンだったのだ。
チャンネル権のない少年だんぞうは、いつも裏の「ウルトラQ」が見たくて仕方なかったのだが、親が「アップダウンクイズ」を見ているばかりに、「ウルトラQ」は見れなかった。
もう、悔しくて悔しくて。
だから「アップダウンクイズ」は大嫌いだった。
いやなに、番組そのものがつまらない・・というのではない。この番組の存在が邪魔だっただけだ。
この番組が、ウルトラQの時間帯とかぶっていなければ、好きになっていたかもしれない。
だが、悲しいことに、我が家ではこのクイズ番組はウルトラQの前に立ちはだかってた。
そんなもんだから私は「アップダウンクイズさえ無ければ、ウルトラQが見れるのに!」
・・と、いつも複雑な思いで、恨めしげにテレビ画面を見ていた。
親がトイレなどに行って、一瞬席を外した時などは、ここぞとばかりにウルトラQにチャンネルを合わせていた。
だが、親が席に帰ってくると、また憎き「アップダウンクイズ」にチャンネルは戻すはめに。
つかの間の「ウルトラQ」だった。
ちょうど怪獣が出ている場面などで「アップダウンクイズ」にチャンネルを戻さねばならなかった時の私の落胆ぶり、分かってもらえるだろうか。
しまいには、「アップダウンクイズ」を提供してるスポンサーさえも恨めしく思ったもんだった。
もちろん、このスポンサーが「ウルトラQ」を提供していてくれたなら大好きだっただろう。
いっそ、この「アップダウンクイズ」が番組終了してくれないものかな・・と思ったもんだが、このクイズ番組ときたら長寿番組で、いっこうに終わる気配がない。
日曜の夜7時には、絶えず子供が喜びそうな番組が放送されてたのだが、放送された子供向け番組は、いつも大人の「アップダウンクイズ」に邪魔されていたのだった。
学校では、クラスメートたちが、月曜になると前日放送されたウルトラQの話で盛り上がっていた。
クラスメートの話題に入れない私は、疎外感も味わったし、ウルトラQを見ているクラスメートを羨望の眼差しで見ていた。
やがて。
親が新しいテレビを買い、それまで使ってた古いテレビは別の部屋に移された。
左遷のように。
でも、この「古いテレビの左遷」こそ、私が望んでいたことだった。
別部屋に置いた「古いテレビ」で、私は日曜夜7時から放送される子供向け番組を見れるようになった。
また、アップダウンクイズに邪魔され続けたウルトラQは、再放送された。
もちろん、もう見逃さなかった。
おかげで、ウルトラQはよく覚えている。
もし、親が新しいテレビを買わなければ、ウルトラQの後番組だった「ウルトラマン」も、リアルタイムでは見れなかっただろう。
親は相変わらずアップダウンクイズを見ていたし。
ウルトラマンまで「アップダウンクイズ」で邪魔されていたら、私の「アップダウンクイズ」に対する敵対心は、もっと強くなっていたかもしれない。
そんな事情があるから、アップダウンクイズは私にとっては「子供の敵」として心に焼き付けられた。
憎たらしくてしかたなかった。
子供時代の体験ってのは、深く心に刻み込まれ、トラウマになってしまう。
おかげで、今でも「アップダウンクイズ」という番組の名前が出たりすると、一種複雑な思いが心の中で浮かんでしまう。
もちろん、良いイメージは・・ない(笑)。なんとなく敬遠、そんな感じ。
げに幼児体験は恐ろしいのだ(笑)。
御存知のようにウルトラシリーズは、今も継続されており、次々と新たなウルトラヒーローが登場し続けている。
ウルトラQは、ウルトラシリーズの元祖番組として、今やリスペクトの対象になっている。
また、ウルトラQに出て来た怪獣のソフトビニール人形をはじめとするキャラクター商品は、今やプレミア値段がついており、今も人気は高い。欲しがる「当時の少年=今の大人」は今も現役。
それにくらべて「アップダウンクイズ」は?
あまり話題にも登らない。
歴史はウルトラQを勝者とした・・・そんな風に考えて、「大人になった少年だんぞう」は、日頃のうさを晴らして、溜飲を下げる・・・こともある(笑)。
あ、たまにですよ、たま~に。
例えば「なんでも鑑定団」という番組を録画しておいて、見た時などに、なのです。