
PCを買って間もないころ。
それは・・・まだウィンドウズ98の頃だったと思う。
パソコンで曲を作ってみたくて、初歩的な作曲ソフトを買ったっけ。
そのソフトは「音楽ツクール」というソフトだった。
最初は何が何だか分からなかったが、悪戦苦闘していくうちに、ある程度の使い方が分かってくるようになった。
各トラックの五線譜に音符を入力していくと、コンピューターが、自分の入力した通りに演奏してくれる。
各トラックの音色(楽器)を変えることで、ギター、ベース、ドラムス、ストリングス、ピアノ、SE(サウンドエフェクト)、オーケストラ、民族楽器形、など色んな楽器を曲に導入できるのが楽しくてたまらなくなった。
バンド時代、私は色んな曲を作ってたけど、中にはとてもバンドじゃできないような曲も頭の中にあった。
時間がたつにつれ、そういう「バンドじゃできない曲」が、頭の中にたまってくるようになった。
でも、PCでなら、そういう曲も作れる。
それが分かると、「バンドじゃできない曲」ばかりを作曲ソフトで作るようになった。
ボーカルが入らない、インスト曲。
例えば、曲のパートごとに楽器がチェンジし、曲調もどんどん変わり、民族楽器みたいなものが入る個所もあれば、プログレの影響を受けたような個所もあり、ムード音楽みたいなオーケストラが入る曲もあったり。
中には自然音が入る個所もあったり。
そう・・マイク・オールドフィールドがやってたような音楽を、作ってみたかったのだ。
まあ、出来上がってみたら、オールドフィールドとは雲泥の差がある曲だったけど(笑)。
曲によっては、凝りまくった。
1曲の長さが12~13分くらいあって、しかもトラック数がそこそこあって、リピートはほとんど使わなかった曲は多かった。
自動演奏によるインストだと、単なる「繰り返し」だと、聴いててつまらない。
そのつまらなさを解消させるためには、曲調を「完全リピート」無しにして、どんどん変化させていかねばならない。
その場合、スコアが延々と続いていった。
そんな曲は毎日作業して、1曲完成するのに1カ月以上かかったりした。
メロディの流れを作り、各パートが終わるごとにメロディをどんどん違う感じに展開させ、伴奏パターンを考え、どの音色を選び、どこはどういうリズムにして・・などを考えながら、各五線譜に音符を入力していった。
曲によっては、1曲の中に、マイク・オールドフィールド、ビートルズ、アル・スチュワート、名も知らぬニューエイジミュージック、ピンクフロイド、キングクリムゾン、ニニ・ロッソ、外国唱歌、ハワイアン、ザバンドの各曲の私の好きなパートを次々にぶちこんだ曲もある。
さすがにその曲は、完成してみると、統一感はなかった(笑)。
でも、その反省は、その後の別の曲を作る時に、役だった。
かと思えば、6~7分ある曲を、30秒以内の長さに凝縮させて、曲のあらましだけを紹介するような出来になるような試みもやってみた。それは30秒タイプを作った後、さらに凝縮して15秒にまとめたバージョンも遊びで作ったりした。これは、長い曲を短縮させる、いいトレーニングになった。
また、なかには音源は完成したものの、どうしてもタイトルが浮かばず、気づけばその音源そのものがどこかに行ってしまったケースもあった。
まさにオタク的、地道な作業だったが、楽しくてしかたなかった。
通勤電車の中では、制作中の曲の次の展開ばかりを考えてた時期もある。
ともかく、現実では実演不可能な曲作りをしてみたかった。
やがて、そういう曲がたまり、90分カセット1本分くらいのストックができた。
そして、各曲をカセットに収録。
で、それらの曲に入ったテープ、私の周りの数人の人には聴いてもらった。
1~2曲だけ選んで聴いてもらった人もあれば、カセット1本まるまる全曲聴いてもらった人もいた。
かねてから頭の中で思い描いていた曲を、そのカセット1本分に吐き出した感じだった。
で、そのカセットに入れた楽曲は、その後我が家で眠ることになった。
そのころはライブ活動などはやってなかったし、仮にライブ活動やってたとしても、それら「PCで作った曲」は生での実演は不可能なので、どのみち我が家で眠るしかなかった。
そう。たんなる自己満足だった。
それでもよかった。
とりあえず、形にできた・・という喜びだけはあったから。
その後、時は流れ。
私はアコギを持って、ライブ活動するようになる。
歌詞つきの自作曲がたまってたので、そういう曲の中からセレクトして時代屋で取り上げ、ライブで披露するようになった。
だが、PCで作ったインスト曲は、とてもじゃないがアコギユニットではできない。
楽器編成的にも。
だが・・。
PCで作ったインスト曲の中には、人前でやってみたい曲もあった。
しかし楽器編成的にもアレンジ的にもアコギユニットではできない・・・・ならば、どうしたらいいか。
長い曲を、区切りのいいところで切って、2~3曲分に分け。
新たに曲の構成を練り直し、パートを削除したり、新たなパートを加えたりして、歌詞をつけ、歌えるようにした。
それが、「空の少年」「ポケットに入れた空」だった。
インスト時代では「郷愁」というタイトルだった1曲を二つに分けて、曲全体を構成しなおし、それぞれ別の歌詞をつけたのだった。
実は、PCで私が作ったインスト曲集の中では、「郷愁」以外にも、曲を分割して再構築して、歌詞をつけて人前で歌えるようにしたい曲が、まだある。
いずれ、「郷愁」が「空の少年」と「ポケットに入れた空」の2曲になったように、「郷愁」以外の他の「ある曲」も、分割して2~3曲くらいに分け、それぞれに歌詞をつけて、人前で披露してみたいと思っている。
作曲ソフトで自由に展開させて作ったインスト曲は、それまで頭の中にストックされていた「たくさんの曲の断片」をかなりまとめあげて「形」にしたので、各曲の各パートの「インストでの、とりあえずの完成形」は、その後の自分の曲作りにずいぶん役に立っている。
「あ、私は、こういうのをやりたかったんだな」ということが、インストの中では形になってるからだ。
今も、曲つくりの途中で、アイディアが詰まってしまった時に、その「PCで作ったインスト曲集」の各曲の断片を持ってくることで、曲として完成させられることがある。
そのインスト集は、私の曲作りの貯金なのかもしれない。
ちなみに、そのインスト集を作ってる時、私は仕事で歴史モノ作品関係に携わっていた。
その影響もあって、インスト集全体的には、時代劇っぽい曲が多かった気もしている。
覚えてる範囲で、そのインスト集に収録した、私の自作「PC作曲ソフト」で作ったインスト曲のタイトルをあげて記してみたい。
カセットやMDに残してある。
1、 北前船
2、 動乱
3、 銀河
4、 故郷の川
5、 呼び声
6、 鼓動
7、 SURUGA
8、 昼下がりの道化師
9、 草原の子供たち
10、戦場にて
11、いくさのあと
12、郷愁
13、動乱リプライズ(30秒バージョン)
14、動乱リプライズ(15秒バージョン)
曲は上記の他にも多数あったが、タイトルがついていなかったり、あまりにも気に入らなくてボツにした曲も・・・・ある・・・。
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