猫と惑星系

押し記事 星間微惑星。 天体の翻訳他、韓流、花の写真を掲載。

イカロス後期運用

2011-01-31 18:02:25 | 宇宙開発
イカロスはフルサクセスで、打上時に予定していた運用は終了。まだまだ使えるイカロスの後期運用は、
1.ソーラーセイルを長期間、宇宙に暴露することによる劣化の程度を把握。宇宙線、宇宙塵でボロボロになったり穴が開いたりしないかを見る。マクロスみたいなピンポイントバリアーが無いので。
2.ソーラーセイルの太陽角、自転速度を大幅に変えて、ソーラーセイルの挙動を把握し力学モデルにつなげる。
3.オプション機器の計測データのダウンロードと計測続行。
4.新規採用の気液平衡スラスタ,中利得アンテナ,ミッション系エレキの性能と寿命確認。
と、当ブログは、まとめました。スケジュール的に3,4月が空いているのは、年度末と年度初めで忙しくて運用できないのでは無く。
あかつきの推進系のテストが、目白押しになっていると期待します。人事異動とか大人の事情なら超がっかり。
以下、小型ソーラー電力セイル実証機(IKAROS)の定常運用終了報告のコピー。
後期運用計画 主ミッションに関するテーマ

(1) 大型膜面の展開・展張
  <継続1>展開運動および展張状態を評価し、膜面の機械的な劣化を評価する。
  <新規1>膜面挙動・膜面形状の変化を積極的に引き出して展張状態の力学モデルを構築する。
       定常運用の結果,太陽角・スピンレートを変化させると膜面形状が変化し、太陽光圧下
       での膜面挙動が変化することを確認した。後期運用では、太陽角・スピンレートの組
       合せを積極的に広範囲に変化させて以下を実施する。
      ・展張状態の力学モデルを構築する。
      (膜面形状・膜面挙動の変化を積極的に引き出して実現)
      ・膜面の光学パラメータモデルを構築する。
      (膜面形状変化から太陽光圧の反射率と面積の分離精度を向上させて実現)

(2) 薄膜太陽電池による発電
  <継続2>発電性能を評価し薄膜太陽電池システムの劣化を評価する。

(3) ソーラーセイルによる加速実証
  <継続3>膜面の加速性能を評価し、膜面の反射特性の劣化および光子加速の姿勢依存性を評価する。
  <新規2>膜面形状変化から太陽光圧の反射率と面積の分離精度を向上させて膜面の光学パラメータモデルを構築する。

(4) ソーラーセイルによる航行技術の獲得
  <新規3>IKAROSと地球の距離が大きくなることを利用して光子加速下の軌道決定精度を評価する。
  <新規4>軌道周期単位の長期的な誘導制御性を評価する。


オプション機器(GAP,ALDN,VLBI)ミッションの継続
(1) GAP:ガンマ線バースト偏光検出器(GAP= GAmma‐ray burst Polarimeter)
  中心の散乱体とそれを取り囲む12枚の蛍光検出器からなる、散乱型ガンマ線偏光検出器で、世界で初めてガンマ線バーストの偏光度を測定する。
(2)ALDN:大面積宇宙塵検出器(ALLADDIN= Arrayed Large‐Area Dust Detector for INterplanetary Space)
  宇宙塵の衝突時刻、信号ピーク値、信号の減衰時間などを記録し、地球より太陽に近い領域での宇宙塵の分布を解明する。

(3)VLBI計測用マルチトーン送信器(VLBI= Very Long Baseline Interferometry=超長基線干渉計)
  非常に遠くで輝いているクェーサーを利用して、IKAROSの軌道を正確に測定するΔVLBI技術を確実に習得し、
  将来ミッションにおいて、定常的にΔVLBIを用いた高精度軌道決定を行えるようにする。

新規開発機器(気液平衡スラスタ,中利得アンテナ,ミッション系エレキ)の評価

スケジュール
2月:姿勢・軌道決定(⇒新規3,4,継続3)
展張状態・薄膜太陽電池発電確認(⇒継続1,2)
GAP,ALDN観測データの再生

5,6月:姿勢・軌道決定(⇒新規3,4,継続3)
展張状態・薄膜太陽電池発電確認(⇒継続1,2)
GAP,ALDN観測データの再生、VLBIによる工学実験
スピンレート・太陽角の広範囲変更後、姿勢・軌道決定(⇒新規1,2)

7月以降の運用については、6月までの運用結果を踏まえて判断する。
<現状案>スピンレート・太陽角の広範囲変更により、
・通信状況を改善できる場合⇒ 燃料を節約しながら、長期の運用を継続する。
・通信状況を改善できない場合⇒ 燃料を消費しながら、中利得アンテナのリンク姿勢を維持する。


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