89歳・男性。
体力は相当あるお方。
朝方、起床と同時に全く左肩~腕に力が入らず
肘の周辺に赤い斑点(はんてん)多数。
指の握り開きは出来る。
肘の曲げ伸ばしは、時間経過と共に可能。
制限はある。
肩関節を動かすことは全く出来ない。
皮膚の知覚・温度探知はOK.
前の晩までは、全く問題無し。
病気、投薬、
思い当たる作業・原因なども無い。
原因は・・・・??
~~~~~~~
▲就寝中に、
自分の左腕が上半身の下に入り込み、
体重がかかったまま寝返りを打った瞬間に、
肩の内部の筋肉に体重がかかって押し潰され、
押し潰された状態で強引に腕が転がされて、
中の筋肉の線維が【ブチブチッ!!】
と切れてしまった。
肩の筋肉が切れた!その後は・・・?
3日間、全く動かせませんでした。
押し潰されたことで
神経の≪信号を伝える≫という機能が遮断されて
麻痺(まひ)を起こしてしまった。
肩の筋肉に命令を与える神経は腋窩神経(えきかしんけい)は
肩の負傷と共に、この様な麻痺(まひ)症状を良く起こします。
長時間の正座をした後に、痺れて(しびれて)感覚が一時的に無くなり、
その後に動くことに苦労したことはあるでしょう。
それに、今回のケースは似ています。
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1:筋肉が切れてしまった。
2:内出血が非常に多い。
3:全く肩関節の周辺が動かない。
この様な状況で、やはり手術は必要なのか?
その後は、どんな状況になったでしょうか?
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処置の内容))
1: 肩のサポーター
2: 肩の内出血を早く吸収させ、散らす為に電気療法
3: 手技(マッサージではありません)を首だけに行ない、
手のひらだけは、運動を行いました。
本当にこういう処置だけ実施。
4日目に、突然グイグイと肩が動かせるようになり、
5日目にはほとんど通常の状態に戻りました。
明日に完治宣言予定です。
まだ7日目ですが、問題ありません。
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実は、これは100%予想していたことであり、
担当のドクターも、
●痛み止めの薬。
●注射による痛み止め。
一切、行なっていません。
筋肉が切れた時の外科処置
(げかしょち:観血療法とも言い、『出血の可能性がある・或いは実際に出血する処置』という意味です)
としては
●ヒアルロン酸などを注射で注入して、切れた隙間を埋める。
●手術で、切れた部分をつなぐ。
この2つが代表的なのですが、どちらも行なっていません。
~~~~~~~
これには、大きな2つの理由があります。
1:基礎的な固定だけで、内部がご自分の再生力で修復できる。
2:強い固定をすることで
他の健康な部分の動きを邪魔してしまい
ご高齢であることを考えると、
そのことで他の部分の運動機能を大幅に低下させてしまう可能性があるため
そちらが生活に及ぼす危険性がある。
特に2:については
高齢者の方の治療を行う時には厳重な注意が必要です。
●バランスを崩しやすくなる。
●バランスを崩しやすくなることで転倒しやすくなる。
●筋力が弱くなる。
この様な直接的なマイナス面の他に、
運動機能が低下することで外部から受ける刺激が少なくなり
脳の活動が一気に弱くなる可能性があります。
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今回の患者様は、非常に体力がある方でしたので
筋肉の再生力が強く
当初から早期に治るのが予測できていました。
そういう意味では比較的に複雑な難しさは無かったのですが、
すでに何らかの障害や不具合をお持ちの方が負傷をした時に、
その負傷の重傷度合いだけではなく、
★治療という行為をした時に、どういう影響を患者様が受けるのか?
という予測力が絶対に必要です。
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治療の中で≪過剰な刺激≫を与えないことも大事です。
過剰な刺激は【オーバードーゼ】とも言われます。
治療という行為には、刺激を与える行為も含まれます。
治療の中で刺激を強くし過ぎたり、刺激の量が多過ぎれば、
それが原因で、別の問題が起きたりすることは多いのです。
そして、過剰な安静も治るのを遅くします。
適度・適正・最適な刺激こそが、身体を治す最短の道です。
それは、負傷のその都度:違ってくるものなのです。
その判断を正確に行なうのが、専門の医療者です。
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