久しぶりの戦い

はい、出張ー。

ちょっくら隣の市まで出張に行ってまいりました。

隣の市っていっても、隣の県レベルですから遠いのです。
高速鉄道とやらに乗って行かねばならんのです。

広州は、というか中国全般ですが、まだインフラ整備が整って
いないこともあって、鉄道のアクセスがぶつ切り。
今回の目的地に行くための高速鉄道に乗るのには、広州の中心地
から行けません。郊外も郊外、ものすごく郊外に行ったところに
その始発駅が存在します。

広州南駅。

なんじゃこりゃー。
無駄にでかいー。
空港並みにでかいー。
私の実家の空港より確実にでかいー。

と、まずその大きさにピャーと驚きつつ、
なんとなく薄暗い駅の中で切符売り場を探します。

さすが、近代的な駅。
自動券売機が充実しています。いろんなところに券売機が。
ま、あっても私たち外国人にはカンケーありません。窓口でしか
購入できないからです。

ま、しょうがない。
窓口に行きますよ。日本で言うところのみどりの窓口です。

・・・並んでる。

券売機で買おうよ～、なんで
ココに並んでるのよ～！ちょっとちょっと軽く20分待ちの人の
多さじゃないのよーーーー！！

案の定。
戦い。

定石でございますが、後ろの方がなぜかね、
前に飛び出してくるんですよ。

もう、絶妙。電話かけながら、前の様子を見るふりして
にじり寄ってくる。「だるまさんが転んだ」やれば
きっとすごい。振り返るたびにその距離を詰めてくる。

とうとう横にぴったりとつけてきた。
もう、お前私の旦那かっつーぐらいの横づけ。なんなら
私に寄り添ってんの？ぐらいの距離感。間違ってる。

離れたいけど、本筋を動くと、そいつが
ポールポジションを獲ってしまうかもしれない。
そう思うと、動くに動けず、なんだか愛する二人の距離感のまま。

顔は全力で嫌な顔をして、睨んでも見るけど、相手はどこ吹く風。
涼しい顔してる。ふと下を見たら、中国にありがちなＴシャツを
まくり上げたヘソから乳首あたりまで出ちゃってるよルック。
そりゃ涼しいわお前！

もー！！！
イライラするー！！！

結局、私が切符を買う順番に来た瞬間、案の定割り込もうとしてきた。
思わず静かに言ったよね。「ぬしゃ、なんばしよっとや」ってね。

相手もなんとなく気配を感じたのか、一歩下がっては見たけど、
恋人の距離感はキープ。

なんじゃそりゃー、いいから離れろーーーーー！！

しかし、そういって時間をかけている暇は無いのです。
とにかく切符を買わねばならんのです。

ようやく切符を買って、レシート頂戴って言ってる間に、
もう、この時間ですっかり恋人になっちゃったんじゃないかって
いう後ろのヤツが我慢できずに割り込んできました。そうなると、
こんな外国から来た異人の私はペッと列から吐き出されてしまうわけです。
さっきまで恋人の距離感だったおっさんはもう私なんて見向きもしません。

なんだお前。
と心の中で思いながら、イライラ感を募らせながら、
乗り場に行こうとエスカレーターに乗りました。後ろに子供が
いたからイヤな予感はしてたんですよ・・・。

はい、予感的中ー。
もー、エスカレーターでどうして真後ろに乗っちゃうかな。
どうして、一個見送らないかな。私の尻とあんたの頭ぶつかってるよ。
もー！！！どうしてこう距離感がおかしいかな？！

私に近寄るなー！！！！

イライラするー！

イライラを増幅させつつ、電車に乗車しました。

はいー、私の席に誰か座ってるー。
ちょっと、ちょっとこちとらわざわざ窓際の席買ってんのよ、
そんな簡単に席譲れないわよ！と思っているのは私だけ。

「席、かわってよ。あんたのあっち。」

はい、もう無視～。私の存在なくなっちゃった～。
指さされた席は通路席～。


無力感を感じながら、その席に行ったところ、
隣のおっさん、全力で鼻くそほじってんですけど。

その隣のおばさん、自分の足の汚れを前の座席にこれまた
力いっぱいこすり付けてるんですけど。

後ろの席の声のボリュームがおかしくて、鼓膜が
どうにかなりそうなんですけど。

「イライラ－するー！！！」

頭を抱えてとうとう叫んでしまいました。

もう、どうかしてる。やっぱりこの国、どうかしてる。

着いた駅には何もない。
駅を一歩出たら、草。

草って・・・。バイクタクシーの兄ちゃんが
「俺とダンデムしないか？」って怪しい顔して寄ってくる。

あー、私は無力ー。
中国で私はこんなにも無力ー。

バイクタクシーを振り切ってタクシーに乗る時、ドライバーに
「ここに行きたいんだけど、知ってる？」って聞いたら、

「あ？」

はいー、もうどうでもいいっす。