べびたんの館

☆べびたんの暮らしぶりをご紹介します☆

☆ガラ☆

2017年09月22日 | 暮らし
 


いつか、もう一度行ってみたい、そう思っていた場所、
皆さんにもありますか?
べびたんにもあります。
それは、とっても不思議な所です。
時の流れがそこだけは他とは違うのです。
 

もう何年も前のことです。
「いいところに連れてってあげるよ!
きっとべびたんも気に入ると思うよ!」
ゆうなんが、こんなことを言うときはいつも、
ルンルンと唄うように話します。
 
べびたんは、ゆうなんの車に乗って、出かけました。
ともりん、みぃみぃ、ぶぅぶぅも一緒でした。
車からおりると、そこには、不思議な世界につながる扉がありました。
扉を開けると、モァっと湯気でもないキリでもない、
空気につつまれます。
そして見るもの見るもの全てがセピア色に変わるのでした。
べびたんは、きんちょうしました。
そんな世界は初めてだったからです。
 
セピア色の中に、色んなモノに囲まれた男の人がいます。
その人はマスターと呼ばれていました。
色んなもの、それはべびたんより歳を重ねたモノたち。
昭和よりも前から、僕らはこの世界の住人だったのだ、
そんな気配。みんな、ガヤガヤとさわいでいるのを感じます。
昭和生まれのべびたんは、小さくなりました。
 
ふと気が付くと、ほわほわと、とある香りがただよっています。
べびたんは、その香りを知っていました。
コーヒーの香り。
知っている何かにつつまれて、べびたんは少しほっとしました。
 
何もかもが初めてでは、落ち着かないもの。
 
べびたんたちは、皆で、まあるい大きなテーブルを囲み、
めいめい、好きなお椅子に腰をかけました。
べびたんは、もちろん、みぃみぃのおヒザです。
 
マスターと呼ばれる人が近づいてきます。
べびたんのきんちょうは高まりました。
なぜなら、この世界は、この人物、マスターと呼ばれる人次第、
べびたんはそう感じていたからです。
周りの「モノ」たちも、かたずをのんで、見守っています。
 
マスターは、お盆にグラスをのせて、一つずつテーブルにグラスをおきます。
すっ、すっ、すっ・・・無駄のない動きです。
 
全てのグラスがテーブルにのせられました。
次のしゅんかんです。
マスターはべびたんをじっと見すえました。
そして、すいっと、べびたんとの距離をちじめました!
さらに、べびたんのお顔に、自分の顔をぐぐっと近づけます。
かなり近いです。
まじまじ、とべびたんを見つめます。
べびたんも、遅れを取ることなく、はっしとマスターを見返しました。
何が起こっても、表情を変えないぞ、
マスターの顔にはそんな決意がみなぎっています。
そこにいるみんながべびたんと、このマスターを見つめています。
 
静じゃくな時間。
時が止まったかのよう。
 
「高そうな人形ですね。」
 
と、マスターの一言。
その一言で、全てが決まりました!
べびたんは、受け入れられたのです!
しかも、このマスターは、べびたんのビンテージ度まで、
ちゃんとわかっていました。
昭和より前から、この世界の住人だったモノたちも、
すっと、口をつぐんで大人しくなりました。
オルガンもタイプライターも、天井のチェロまでも。

べびたんは、ちょっと得意げにふふん!とお鼻をならしました。
 
みぃみぃは、ほっと胸をなでおろしました。

ゆうなんは、マスターの一言に大喜び。
はずんだ声で、ルンルン、立てつづけにおしゃべりしています。
 
ともりんは、そういうときはいつも、
『ママはもぅ・・・』とかなんとか、つっこみます。
 
皆、どっぷりと腰をかけ直し、くつろいだ様子。
好きなものをマスターにお願いしました。
 
ぶぅぶぅは、
マンデリンがどうとか、サントスが、モカが、とか、
詳しい人のように話しました。
知ったかぶりなのかどうかべびたんには、わかりません。
でも、マスターの世界にあるものは、マスターが一番よく知ってる。
べびたんは、そう思いました。
 
あとのことは、何があったのが、べびたんは知りません。
べびたんは、ぶぅぶぅのお話の途中、
すぅすぅ眠ってしまいました。
マスターとの一騎打ちのせいです。
 
それに、受け入れられた場所では、
安心してぐっすりと眠れますね。
 
ふと目が覚めると、帰りの車の中でした。
いったい、あれはどういう場所なのか、ゆうなんが教えてくれました。
それは、ガラという喫茶店でした。
 
 
そんなガラですが、ふとその場所から消えてしまいました。
つい、先日のことです。

ゆうなんがさびしがります。
 
べびたんは、スズメネットを使って、調べました。
こんな時は、一番、あてになります。
調査隊の報告を受けた小さなスズメが、パタパタと帰ってきました。
そして、わかったことをごにょごにょと話ました。
 

ある時、マスターは、トラックを一台手に入れました。
これまた時代がかったものだったそうです。
そして、荷台に、大切なものを全部のせて、とことこと出かけて行ったそうです。
 
ガラには、いろんなものがありましたが、
入ってきた人は、重たいものや
軽いものや、とにかくいろんなモノを置いていくのです。
そして、軽やかになって出ていく。
 
そんなことをくり返すうち、お店がいっぱいになりました。
(どんなにいろんなモノを持ち込んでも、いっぱいにならない、
みんな、そう思っていたのですね。)
そこで、マスターは一番大切なものを集めて、
出かけていくことにしたのです。

あぜ道をどんどんどんどん進むトラック。
スズメネットの調査隊は、グイグイグイグイ飛び続け、追いかけました。
何日も何日も走り続け、ようやくマスターはふと車を止めました。
マスターはお気に入りの場所を見つけたのです。
車からおりました。
よっこいしょと、すわりこみ、しばらく考えこんだようになりました。
そして、思い立ったようにすっくと立ち上がり、
エイヤッと『マスターの空間』をこしらえたのです。
 
小さなスズメのお話は、これが全てでした。
 
 
しばらくすると、べびたんに一通のDMが届けられました。
スズメネットだけができることです。
それは招待状でした。
 
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たかそうな おにんぎょう さん へ

『ゆうひ の まいおりる まち』に、おみせをだしました。

                       ガラ
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読むと、コーヒーの香りがしました。

今度は、べびたんがゆうなんをつれて行こう、そう思います。
                        

                         べび
 
 
 

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