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映画感想文 Vol.41 「Vフォーヴェンデッタ」

2006年05月03日 | 映画感想文
Vフォーヴェンデッタ (2006)
★★★★★★★★☆☆



映画の日に観て来ました。
『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟が製作と脚本を手掛けるというので、まず観たいと思ったのと、話の設定に惹かれたので迷わず映画館に飛び込みました。

物語を簡単に説明すると、第3次世界大戦後のイギリスが舞台で、孤高のテロリスト“V”が、国民の自由を制御した国家に立ち向かう近未来の話。

主演のナタリーポートマンも丸刈りするシーンがあって、印象的なこの映画。ウォシャウスキー兄弟だけあって全体的に、哲学的な台詞と引用が多々出てきたり、『マトリックス』の流れを受け継ぐような(少し抑え目の)アクションシーン、何よりしっかりとしたテーマがあり、それをちゃんと描けてると思った。

自由を失った国家では、人々は常に監視され、情報も偽造され、何もできない。多分、今回のフィクサーの名前がサトラー(だったと思う)なので、ナチス国家をアンチテーゼにしてるんでしょう。

そんな国家に、一人反抗する謎の仮面の男〝V〟。インパクト大です。しかも強い。(まぁその理由はちゃんと物語で語ってます)

建物を爆破したり、禁じられてる音楽を街中に流したり、テロをスマートに結構していく。しかし、その無鉄砲で勝手なテロ行為に見える〝V〟の行動にはちゃんとした訳が存在するんです。

ここでは、ほとんどネタばらしになるので言えませんが、とにかくこの物語で言いたいのは、正義とは何か、真実とは何か、です。〝V〟の仮面もそれが反映されてると思います。表面だけを信じるな、と。


物語中に出てくる〝V〟の台詞で、〝政治家は嘘をついて真実を隠すが、小説家は嘘をついて真実を語る〟というのがあるんですが、すごく共感しましたし、名言だと思いました。

国民は日々情報に踊らされてるし、それを本当に真に受けていいのか、を問い掛けている。それはまさに現実に生きる我々にも直接関わってることで、マスコミを全て鵜呑みにしていていいのか、それは本当に真実なのかを疑えという事です。ただ与えられる情報だけを信じていていいのだろうか、と。

そして、世界は人が動けば変えられるという事です。マイノリティのままいると世界は変わらないけど、マジョリティになれば世界は変えられる。世界は動かせるという事も劇中で投げ掛けています。

この一本の映画の中で、本当に考えさせられる部分は多いと思うし、もう一度冷静に自分と向き直れる作品だと思います。

映画としては秀作です。

面白くないという人も当然いると思いますが、これは観て損はないんじゃないか、と思います。

ただやっぱ、物語的に言うと、説明不足で難解な所もあるから、一回だけじゃ解かり辛いというデメリットはある。だからアメリカではあんまり受けないんじゃないかな。劇中で〝元アメリカ合衆国〟だとか〝アメリカガス臭国〟なんて毒を平気で吐いてるから。

でも、僕は好きですね。DVD出たら多分買いますよ。

ちなみにヴェンデッタの意味は、〝血の復讐〟らしいです。



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