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映画感想文 Vol.29 「チャイニーズ・ディナー」

2005年11月03日 | 映画感想文
Vol.29 チャイニーズ・ディナー (2000)
★★★★★★★★★★



この映画は大好きで、僕は三回観ています。

これは、おそらくそんなにメジャーになってないと思いますね。
『ケイゾク』『溺れる魚』の堤幸彦監督が、おそらく趣味で撮ったような映画だと思います。この映画は、本当に堤監督っぽくないんですよね。いい意味で裏切られたという感じです。

でも、堤監督だから、でき得たと言える所もあります。
まず、登場人物は柳葉敏郎とIZAMの二人だけなんです。まぁ料理を運んでくる中国人は別として、90分この二人だけで、物語られる。しかも高級中華料理店の一室のみで。いわばオール密室サスペンスの二人芝居なんです。だから、おそらくこれの舞台化もできると思います。というよりは、舞台向きかもしれません。

ストーリーは、店のオーナー兼組の若頭である柳葉敏郎が、一人、個室で食事をしようと言う時に、殺し屋のIZAMが入ってくる。IZAMは、柳葉を殺すと言い、柳葉はなぜ自分が狙われるか、唖然とする。銃口を向けられたまま料理が運ばれ、死へのカウントダウンディナーが始まる。

この映画の見所は、なんと言っても、心理戦。
柳葉がIZAMを刺激しないように、冷静に些細な会話や食事の仕草、癖から相手の情報を引き出していく。どこ出身の人間か、何者なのか、誰から依頼されたのか、など。

しかも、それを実行しながらも、相手の隙を生み出して、形勢逆転を狙う。

立場が逆転し、それがまた逆転し、それをさらに逆転させていく、一進一退の攻防、スリリングさに魅了され、同じ背景、同じキャストだけなのに、全く飽きずに世界に入っていける。しかも、おもしろい。
映画の無駄な部分を削ぎ落としていって、どこまでシンプルにさせられるか、という裏テーマがありそうなくらい。

ちゃんとしたオチもあるし、しかも90分っていう時間がいい。長くもなく短くもない。
それに、何回も観れるというのが、自分の中で、名作かどうかの基準なんで、これは確実に自分の中では名作に入ると思います。

これを観た事ない人は、絶対に観た方がいいです。
特に、「殺し屋」「心理戦」のキーワードを含む作品が好きな人は、好きだと思います。

これはもう言う事なしの久々の満点です。

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