下記ブログで紹介した通り、先日マイケル・ジャクソンの未発表曲・アルバム未収録曲・アウトテイク曲を集め、新たに『OUTTAKER』と名付けた、24曲のオリジナルアルバムとして取りまとめた。そして今回改めて全24曲に対する自分なりの解説・感想を簡単に纏めてみたのでご紹介したい。
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01 For All Time
メロディーラインがHuman Natureに近い美しいバラードで『Thriller』期の上質R&Bとしての面影をしっかり残している。個人的にはマイケルらしくてとても好きな曲だが、Human Natureに競り負けて未収録になったのだろう(5点)。
02 Got The Hots
『Thriller』25周年盤の日本向けにだけ収録されていた曲。ディスコ調の楽しい曲なので、『Off The Wall』に収録されていればイメージは合ってたかもしれないが、『Thriller』のコンセプトにはちょっと合わなかったのだろう(4点)。
03 Someone in the Dark
あの映画『E.T.』の読み聞かせ絵本用に作曲された美しいバラード曲で、しばらく幻の作品となっていた。曲の途中でE.T.の声が収録されていて懐かしい。人気絶頂期の穏やかなマイケルが堪能出来る(5点)。
04 Carousel
アウトテイクの中でもかなり好きな曲。道化師である自分が、サーカスのダンサーに恋をしてしまう歌詞を見ていて、WIZ(オズの魔法使い)で昔マイケルがカカシを演じていたマイケルと、マイケルが好き(憧れ?)だったダイアナロスのことが頭をよぎってしまう、そんな曲だ(5点)。
05 Don’t be Messin’ Round
ミディアムテンポのリズムが繰り返される展開の小粒な曲だが、個人的にはあまり好きなタイプの曲ではない(2点)。
06 I’m So Blue
とてもゆっくりとした時間が流れる、平和で穏やかなバラード。普通のアーティストのバラードなら全く悪い出来では無いが、インパクトにはやや欠けるので、レベルの高いマイケルの熾烈なアルバム選曲の中で落選したであろうことは容易に想像出来る一曲(3点)。
07 Song Groove (aka Abortion Papers)
曲のリズムとしては、『BAD』に収録されていてもおかしくない。中絶という社会的なテーマを歌った曲で、中期にマイケルが傾注していった怒り、不満、不安に満ちた曲群のはしりとも言える意味で注目に値する(3点)。
08 Free
インパクトとしてはやや弱いものの、『Off The Wall』や『Thriller』の頃の、希望に満ちた、良き平和で人類愛に満ちた自然体のマイケルに時を戻してくれる珠玉の一曲(4点)。
09 Price of Fame
曲調は『BAD』の頃に近い印象だが、パパラッチやマスコミに対する不信感や不満を先取りした一曲だが、まだ怒りまでは到達しておらず、有名税として覚悟しないと、と自分に言い聞かせている曲(3点)。
10 Al Capone
これは『BAD』に収録されたあの大ヒット曲、Smooth Criminalの原曲。このバージョンもカッコいいし、別の曲として聴いても悪くないが、最終的にどうSmooth Criminal に進化して行ったかを妄想しながら楽しめる一曲(4点)。
11 StreetWalker
オープニングがまるでジャネットジャクソンのControlのようなパーカッションが入り、サビに奏でるハーモニーと音の厚みは一定の完成度を誇る。 『BAD』期のアウトテイクらしい(4点)。
12 Fly Away
これはまた何とも美しい、マイケルらしい一級品のバラード。残念ながらアルバムのコンセプトに合わなかったのかもしれないが、サビのメロディが特に美しいし、『Thriller』に収録されていてもおかしくないし、『Invincible』のButterfliesにも近い雰囲気を持つ名曲(5点)。
13 Sunset Driver
かなりノリノリで楽しいディスコ調曲。アウトテイクの中でもクオリティが高い。『Off The Wall』と『Thriller』の間、架け橋的な曲として妄想するとかなり楽しめる。マイケルらしいフィルインボーカルも活き活きしているシングルクオリティ曲。マイケルの声が若い気がする(5点)。
14 Scared of the Moon
『HIStory』の頃バラードで多投したタイプの曲で、小粒な佳作と言える。サビのサウンドはややユニーク(3点)。
15 We are here to Change the World
Another Part of Meと並んで、ディズニーランドのCaptainEO用にマイケルが作曲。シングルクオリティの完成度ながら、『BAD』には残念ながら収録されず、これまでどのアルバムにも収録されなかった幻の名曲(5点)。
16 Cheater
ややプリンスのようなファンクとして、味わい深いが、プリンスほどエロくならず、爽やかに仕上げているのがさすがマイケルである。かなり異色の作品だ(3点)。
17 Monkey Business
マイケルが愛していたバブルスの声?がフィーチャーされているが、クールでJazzyな一曲。『BAD』にも『Dangerous』にもフィットしなかったのはタイミング的に不運であった(4点)。
18 Someone Put Your Hand Out
アウトテイク群の中で、個人的には一番好きな美しいバラード。サビメロディーが特に美しく、『Thriller』、又は最後のアルバム『Invincible』に収録されているバラードたちと比べても全く遜色無いクオリティ。アルバム収録されて来なかったのが不運としか言いようがない愛すべき名曲(5点)。
19 On The Line
初めて聴いた時、あれ、これベイビーフェイスの曲?と思ってしまったが、やっぱりベイビーフェイスの曲であった。彼のトレードマークはすぐにわかってしまう。『Invincible 』に別のベイビーフェイス曲が収録されているので、その中で漏れてしまったのだろうが、これはこれで悪くない(3点)。
20 Fall Again
アウトテイク群の中でも屈指の美しいバラード。これまた僕が好きなStingの名曲、Fragileにも匹敵するくらい、ギターサウンドが心地よく、切なさが心に染みる。マイケルのファルセットを堪能出来る(5点)。
21 In The Back
かなりスローテンポながら、重いビートが心にズンズン響く。曲調から言うと、明らかに『Dangerous』期のニュージャックスウィングだが、どうやら『Invincible』期に作られたらしい(3点)。
22 Beautiful Girl
これまた美しいバラード。Liberian Girlからエキゾチックな要素を排除し、都会的で洗練されたサウンドに変換したかのような仕上がり。その意味でLiberian Girlほどの強烈なインパクトは無いが、サビメロディーの美しさはマイケルならでは。個人的にはかなり好きな一曲だ(5点)。
23 We’ve Had Enough
サウンドやメロディー的には、『Dangerous』と『HIStory』期に良く使っていたコード進行で、歌詞もやや怒りを込めた私的なものになっているので、マイケル研究には興味深い一曲かもしれないが、個人的にはあまり好みのタイプの曲ではない(3点)。
24 Shout
やや異色のハードロックナンバー。『Dangerous』や『HIStory』あたりに収録されていても全く違和感はないが、ちょっとアルバムコンセプトからは外れて選定から漏れてしまったのだろう(3点)。
~総括~
残念ながらアルバムに収録されず、アウトテイクとなってしまった曲には様々な理由がある。マイケル・ジャクソンの場合は特に完璧主義のもとで世界最高峰のアルバムを創っていたので、いくら普通に素晴らしい曲でも、たまたまアルバムのコンセプトに合致しなかったり、また同じような雰囲気の曲が多かった場合には被ってしまうので選曲に漏れてしまうこともかなり多かったことが容易に想像出来た。しかし、改めて今アウトテイク曲を聴いてみると、実はこっちをアルバムに収録した方が良かったのではとか、やっぱり悪くはないけど、収録に漏れてしまったのも頷けるなあと感じてしまったり、曲によって感想も様々だった。そんな自分が感じた思いを独断と偏見での採点方式で5点満点ベースで各曲解説の最後に記載した。
僕はやっぱり初期から中期の明るく、爽やかなR&Bのマイケルが好きなんだなあ、ということを改めて痛感したが、マイケルのアウトテイクを聴きながら、各時代の流れやその時のマイケルの感情などを想像し時代を振り返る、そんな新たな楽しみ方が、実に高いレベルで出来るというのもマイケルアウトテイクの楽しみ方ならではだなあと、今回痛感してしまった。