夕暮れの陸羽東線の線路が雨に濡れて赤く光っている。山あいを巡るローカル線の旅に出てみた。
薄暮の時間帯と雨は旅情を誘う。列車で日本を一人旅する事は以前から好きだった。初めに一人旅したのは小学3年生の時、東京から親戚のいる広島まで。
当時はまだ大阪までしか新幹線が通っておらず、在来線に乗り換えて広島まで行った。次は小学5年生の時、3泊4日で本州と九州を一周した。とにかく列車に乗るのが好きだったので、
宿には泊まらず寝台列車などに乗りっぱなし。小学6年生の時は、雪が好き広大な大地が好きということで冬の北海道に1週間。その後単車に乗るようになってからは、
鉄道で旅することは少なくなったが、最近はまた鉄道で旅をしたくなり、東北の特に非電化区間を重点的に鉄旅の魅力を味わってみた。架線のない鉄道風景はすっきりしているし、
人口密度の低い街や集落などを眺めているのも郷愁を誘う。線路のジョイント音や気動車のディーゼルエンジンが唸る音も好きだ。
しかし鉄道好きの旅は、列車に乗る前から始まっている。時刻表を見てあれこれ旅の計画を立てるのも鉄旅の醍醐味の一つである。またそう遠くないうちに鉄旅をしたいものだ。
風景写真家 縄手英樹 https://nawatephoto.com/
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/01/0fbc0760317c445b965e9e2f0a25c560.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/a4/b5c30668fb12cf0761e1abb8b85535ff.jpg)
北海道での撮影を終えた帰りに、現在は定期運行を終えたカシオペア号に乗った。9時半頃に上野駅に到着予定の列車なので、朝起きたら当然車窓からは関東の風景が目には入ってくるはずなのだが、雪景色が目の前に広がっていた。車内アナウンスによると、機関車のブレーキ故障で大幅に遅れているとのこと。カシオペア号は動いたり止まったりを繰り返し、次の車内アナウンスでは盛岡で運行を打ち切り、新幹線に乗り継いでくれとのこと。途中打ち切りを残念に思っていたところ、三度車内アナウンスが流れ、お急ぎでない方はこのまま上野まで乗車出来るとのことで、先を急いでいない鉄道好きの私には、至福の時間が延長された。昼食時には駅弁も提供され、私にとっては至れり尽くせりの列車旅であった。結局上野に到着したのは8時間程遅れて夕方になり、最初で最後のカシオペア号の旅は思い出深いものになった。
風景写真家 縄手英樹 https://nawatephoto.com