2021年 12月25日(土) おとがたり朗読シネマの上映会と、朗読ライブを開催します。会場は六本木のストライプスペース。昭和情緒漂う永井荷風の名随筆『寺じまの記』の上映会と、朗読とヴァイオリンで映し出す、荷風人気小説『濹東綺譚』をおとがたり朗読ライブでお贈り致します。皆さまとご一緒できますように願っています。
『濹東綺譚』は、おとがたりでは公演数の多い作品で、今回六本木では初めて公演をさせて頂きます。この作品に出会った頃は、三味線ひとり語りで公演をしていました(今も )。おとがたりでは、少しずつ時間を重ねても、なお新しく見えてくる風景、そしてむしろ変わらない、時代と人間をしっかりと筆に残し、骨太なのにやわらかな語り口からこぼれる情味、郷愁感、哀切のようなものを "読みと音楽" で描いてゆきます。
たくさんある大好きな場面の一つを抜粋してご紹介します。
「あなた。白玉なら食べるんでしょう。今日はわたしがおごるわ。」
「よく覚えているなア。そんな事……。」
「覚えてるわよ。実があるでしょう。だからもう、そこら中浮気するの、お止よしなさい。」
「此処へ来ないと、どこか、他の家へ行くと思ってるのか。仕様がない。」
「男は大概そうだもの。」
「白玉が咽喉へつかえるよ。食べる中だけ仲好くしようや。」
「知らない。」とお雪はわざと荒々しく匙の音をさせて山盛にした氷を突崩くずした。
窓口を覗いた素見客が、「よう、姉さん、御馳走さま。」
「一つあげよう。口をおあき。」
「青酸加里か。命が惜しいや。」
「文無しのくせに、聞いてあきれらア。」
「何云いってやんでい。溝ッ蚊女郎。」と捨台詞で行き過るのを此方も負けて居ず、
「へッ。芥溜野郎。」
「はははは。」と後から来る素見客がまた笑って通り過ぎた。
<公演詳細>
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2021年 12月25日(土)
六本木ストライプスペース
<公演名>
永井荷風「寺じまの記」「濹東綺譚」 〜偏奇館の窓より〜
朗読シネマ上映会と朗読ライブ
<出演>
おとがたり
長浜奈津子(朗読)
喜多直毅(ヴァイオリン)
<公演日時>
2021年12月25日(土)
開場 13時 / 開演 14時
第一部 朗読シネマ上映会
「寺じまの記」永井荷風
第二部 おとがたり朗読ライブ
「濹東奇譚」永井荷風
<会場>
六本木ストライプスペース
(六本木駅 3番出口より徒歩4分)
<入場料金>
予約¥3,000 当日¥3,500 (全席自由)
<問合せ・ご予約>
電話 090-33391281(長浜)
メール nappy_malena@yahoo.co.jp(長浜)
◇写真◇ 前澤秀登 (写真展示同時開催) https://www.hidetomaezawa.com/
*フライヤー:yamasin(g)さんです→https://yamasing.tumblr.com
<おとがたり 朗読シネマ>
OTOGATARI
朗読 長浜奈津子
ヴァイオリン 喜多直毅
撮影・編集 伊藤華織
撮影・照明 大塚秀美
音響 市村隼人
写真 前澤秀登
ヘアメイク Mayumi Assort Tokyo
協力 市川文学ミュージアム
(永井荷風全集他、書籍貸出)
ー 作品紹介 ー
*「朗読シネマ」演目:「寺じまの記」 永井荷風
昭和11年4月に発表された荷風の名随筆。浅草雷門前から玉ノ井行きの路線バス (京成乗合自動車) に乗り、吾妻橋から源森橋を渡り、向島の見番前をすぎて白髭橋から玉ノ井へ着く。路線バスから見える墨東の風景が、細やかに描写されています。大正時代になり開けた新開地、玉ノ井は場末の私娼街。歴史のある絢爛な吉原花街とは違うこの向島に、荷風は荒廃的詩情を感じて足を重ね、後に人気小説「濹東綺譚」が生まれた。玉ノ井の町名が寺島町だったために「寺じまの記」となる。
*「朗読ライブ」演目:「濹東綺譚」 永井荷風
小説家・大江匡と玉ノ井の娼婦・お雪の切なくも美しい愛の物語。昭和初期の私娼街を舞台に、その出会いから別れを季節の移り変わりとともに描き出す、1951(昭和26)年に発行された、永井荷風の代表作品。6月末のある夕方、大江は玉ノ井付近を散策する。急に振り出した大粒の雨、ひらいた傘に突然飛び込んできたひとりの女、お雪。侘しい場末の町、蚊のわめく溝際の家に住むお雪と大江は、なじみを重ね、たがいに情を深めてゆく。純朴なお雪の恋心。玉ノ井路地の迷宮を彷徨い歩く大江の複雑な心情が夜風と切なく交差する。季節は夏を過ぎ、やがて秋の深まる十五夜を向えるのだが、二人の行く末はいかに…。
ー 出演者プロフィールー
おとがたり https://www.otogatari.net
女優・長浜奈津子とヴァイオリン奏者・喜多直毅による朗読ユニット。首都圏を中心に意欲的に活動を行なっている。物語の持つファンタジーを声や楽器の音を通して空間にありありと描き出すために、即興的に互いの間・抑揚・言葉に反応しながら進行するパフォーマンスは臨場感にあふれ、聴く人はまるで物語の中に居合わせるかのような印象を抱く。来場者はもとより、文学研究者からも高い評価を得ている。
長浜奈津子 https://www.nappy-cantactriz.com
桐朋学園演劇科卒業後、劇団俳優座へ。女優・朗読家。2016年から市川市文学ミュージアム「市川荷風忌」へ出演。 “荷風ひとり語り”『ひかげの花』他三味線語り。ヴァイオリニスト喜多直毅氏との朗読ユニット“おとがたり”では『濹東綺譚』他、永井荷風作品を多数上演。於:六本木ストライプハウス「朗読空間 ~ひとり語り~」では、泉鏡花『高野聖』『外科室』他、坂口安吾『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』、小川未明『赤い蝋燭と人魚』、小泉八雲の怪談、宮澤賢治の詩と童話、他多数。 ときに“女優の語り” として物語の登場人物を演じ読み、ときに声のみで言葉や物語を聞き手に読み渡す。
喜多直毅 https://www.naoki-kita.com
国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、そのオリジナリティと精神性において高く評価されている。他に黒田京子、齋藤徹 (故人) との演奏や邦楽・韓国伝統音楽奏者・現代舞踏家との共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行う。我が国に於いて最も先鋭的な活動を行うヴァイオリニストの一人である。
<12月25日(土曜日) おとがたり〜朗読とヴァイオリン 朗読シネマと朗読ライブ>
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⭐️ 六本木ストライプハウス (六本木駅地上から、徒歩3〜4分)
12月5日の市川荷風忌の打ち上げにて。
わたし白玉が食べたくなりました。なんとなくお雪さんの白い顔が浮かんだのです。
「チョットチョット、旦那。。。」
わたし白玉が食べたくなりました。なんとなくお雪さんの白い顔が浮かんだのです。
「チョットチョット、旦那。。。」
最後までお読み頂きましてありがとうございました🌷
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