銀の河～長浜奈津子のブログ～

本八幡・市川市文学ミュージアムへ。第16回市川・荷風忌「吾妻橋」朗読のリハーサルでした。

#感謝

#第16回市川荷風忌

#永井荷風_吾妻橋

永井荷風朗読～荷風忌、他～

2024年04月24日

こんにちは、長浜奈津子です🌸

第16回市川・荷風忌のリハーサルがありました。
スタッフさんと打ち合わせをして、読み通しを終えました。

＜リハーサル＞

本番は5月3日(金・祝) です。

いつも本番前、１週間あたりで、丁寧にテクニカルリハーサルをして下さるのですが、照明の色や立ち位置、音響まで、大体のことを打ち合わせてゆきます。この日はいつも丁寧にしっかりと進行してくださる、お馴染みの司会者の方もいらっしゃって、ステージへの出入りのタイミングなど、当日の流れを打ち合わせしました。企画製作の皆様は、原本を確認しながら、古い言葉の読みをしっかり確認して下さいました。スタッフの皆さん、ありがとうございました。今年もよろしくお願い致します。

＜雨と荷風先生＞

今日は雨の日でした。初めて市川市文学ミュージアムを訪ねた時のことを思い出します。

「濹東綺譚」を初めて朗読することになった私は、こちらを訪ねて、永井荷風や作品についていろいろな資料を見せて頂いたり、教えて頂きました。もう10年ほど前のお話で、その時も今日のような雨で…私は着物姿でした。

「濹東綺譚」の主人公、お雪さんと大江匡の出会いも雨の日です。

…そんなこともあって、雨と荷風先生は、私の中で良い結びとなっています。

＜降っても、晴れても＞

年に一度の「市川・荷風忌」は五月です。今年の本番は晴れるそうで嬉しい。

でも、雨というのも肩の力が抜けるというか、そう嫌ではない。

もちろん呆れるほどの土砂降りでは、かないませんが…こんな風に、しとしと降る雨は、むしろ好きです。飛び込んだカフェで、時間を過ごすのも良い。奪われた時間のようでも、案外、ポカンと空いた時間に、身体がほっとするような気がします。私にとって、現代は時間の流れが早すぎます…

最後に、「吾妻橋」から冒頭部分を書き出してみました。主人公、道子さんと一緒に息をする本番が楽しみです。

＜「吾妻橋」本文より…＞

　毎夜吾妻橋の橋だもとに佇立み、往来の人の袖を引いて遊びを勧める闇の女は、梅雨もあけて、あたりがいよいよ夏らしくなるにつれて、次第に多くなり、今ではどうやら十人近くにもなっているらしい。女達は毎夜のことなので、互にその名もその年齢もその住む処も知り合っている。

　一同から道ちゃんとか道子さんとか呼ばれている円顔の目のぱっちりした中肉中丈の女がある。去年の夏頃からこの稼場に姿を見せ初め、川風の身に浸む秋も早く過ぎ、手袋した手先も凍るような冬になっても毎夜休まずに出て来るので、今では女供の中でも一番古顔になっている。

昭和廿八年十二月作「吾妻橋」永井荷風

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第16回市川荷風忌