こんにちは、長浜奈津子です🌸
今日はすこし寒さがユルんだ一日でした。
この季節、よく喉の調子が… と皆さんおっしゃいます。
寒さで身体も縮み、声がからだの奥で眠っています。なかなか起きて来てくれません。
また、暖房で乾燥もしていることでしょう…
喉そのものだけではなくて、身体を冷やさないようにしましょうね。
<「おかあさんの木」大川悦生著をレッスンで読む>
今日は午前中から、リモート朗読教室でした。作品は「おかあさんの木」。北海道の生徒さんが、ある朗読会で読むことになった演目だということで、お稽古しました。
確か__ 小学生の頃、教科書で読んだ気がします。
私の記憶に残っていたのは、ひとつひとつの木の葉っぱを、おかあさんが手でなぜて…これは一郎の木、これは二郎の木…と喋る場面です。
心に残るお話でしたので、いく十年ぶりに読んだというのに「アッ!」とすぐ思い出したお話でした。
<祖母の手を想い出す>
私の祖母(父の母)は、産み育てた子ども7人のうち、5人を立派に育てあげました。(今の時代でしたら、もうあと2人の子は生きたかもしれませんが、その当時はきっと体の弱い子は生きられなかったのかもしれません)
戦争で夫は戦争にとられ、祖母はいろいろな仕事をして、男4女1の子どもを育てました。
私は内孫でしたので、戦争中の苦労話をいつも聞かされていました。祖母は編み物も得意(必要だったのでしょう)、裁縫も得意、真綿で布団や丹前、綿入れまで作り、畑仕事もした人です。その節くれだった指先から、夢のようにセーターや靴下ができ、その大きな手からは、美味しいじゃがいもやとうもろこし、かぼちゃなどたくさんの野菜ができ、イカのお刺身やイカ飯、鯨汁、大きな鍋で作る手作りコロッケ、おはぎなどよく作ってくれました。
防空壕を作った話まで聞かされました。
そして、編み物したりしながら、私にひとりひとりの子どもの話を、よく話していました。夢中になって育てた子どもたちの話です。ニベアやアロエのクリームをこすりつけていましたが、ふわふわ艶々になることはなく、祖母の手は働く人の手でした。
あの手をどうしても想い出すのです。
<誰もが、初めてだった>
いつでしたか、祖母は自分がうんと若いころの写真をみせてくれました。その写真には、モンペ姿で、シワの一本もない、額で真ん中分けして、後ろでしばった、豊かで黒々した髪、肌の日焼けもない、色白で瓜実顔の綺麗な女の人が写っていました。
子どもの私は驚きました。同じ人とは思えませんでした。
誰もが、肌のやわらかい若い女性だった。
誰もが、初めて母親になった。誰もが、初めて戦争に巻きこまれた。
「おかあさんの木」を読むと、戦争中に一生懸命、子育てをしていた祖母を、どうしても想い出すのです。
<朗読会で、読んで頂けて良かった。>
レッスンをするということで、間接的なのですが、
このお話を朗読会で読むということの お手伝いができて、良かったと思いました。
昔の歌にあったように「戦争を知らない子供たち」だったはずの私。
劇団に入り、20代の頃は戦争に関わるお芝居にもたくさん出演させて頂きました。その時に少年兵だった先輩に色々教わったり、女優の先輩たちに色々なことを教わり、またそれを持って舞台で演じさせて頂きました。今の年頃になって、時代も変わって、恥ずかしながらやっと理解できたことがあります。
だから、今日はひとつ良いことができたと
自分の中で思うことができました。
来月、本番とのこと。あと一回のレッスンで、彼女は舞台にあがります。
たくさんの人に、このお話を届けてほしいと思いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました🌸
長浜奈津子
2024/01/30
ポプラ文庫