【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

めくるめく知のフロンティア・学究達 =071= / 渡辺佑基(41/53)

2020-07-31 06:01:10 | 浪漫紀行・漫遊之譜

地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】

(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)

ニシオンデンザメと優しいイヌイット =3/3= ◆◇

   鋭く切り立った岸壁が左右に遠くまで続いていて、川のようにも見えたが、水深は600~700mもあった。時々岸辺にはホッキョクグマがいるらしかった。

 そしていよいよ、釣りの開始だ。ニシオンデンザメを捕獲するために、大きな釣針のひとつひとつにエサをつけ、幹縄につないで海に投入していく。延縄と呼ばれるシンプルな漁法である。ちなみにエサはセイウチの脂肪だった。

 船には短期雇用の船員として、地元クライドリバー在住のイヌイットの男性が3人乗り込んでいた。甲板でセイウチの脂肪を切り刻みながら、あるいは船内で一休みしながら、私は彼らといろんな話をした。彼らは母語イヌイット語の他に、かなりちゃんとした(つまり私より上手な)英語をしゃべった。

 いちばん仲良くなったのはビリーだ。ビリーは私よりいくらか年上の(でも子供が既に5人いるという!)、とても優しい人柄で、誰かのちょっとしたジョークにも大口を開けてガハハと笑った。コーラが何より大好きで、「これさえ飲めれば人生いうことなし」とでも言うように、本当にうまそうに飲んだ。

ビリーは歳のわりに老けて見えたが、それは前歯のほとんどが欠けてしまっているからだった。前歯を失った理由を訊くと、「コーラの飲み過ぎで抜かれちゃったんだ」とガハハと笑った。どうやらクライドリバーには正式な歯医者はおらず、相当荒っぽい治療が行われているらしかった。

 ビリーは若い頃はアザラシやトナカイの狩猟をよくしたものだが、最近はとんとしなくなったと言う。クライドリバーで定職に就くのは難しいので、工事現場などの短期雇用の仕事を渡り歩いている。今回の調査船の仕事は1日200ドルの収入になるので、とてもラッキーだと笑っていた。

航海が終わったら、貯まったお金で家族のために、ポンコツの洗濯機を買い換えるつもりらしい。「都会に行ったことはあるの?」と私が訊くと、今までの人生で一度だけ、オタワの街に行ったことがあるとのこと。その時に立ち寄ったマクドナルドの味が忘れられないらしく、「ビッグマック・イズ・ザ・ベスト!」と顔をくしゃくしゃにして、ガハハと笑った。

 さて、そんなふうにおしゃべりをしているうちに、延縄を引き上げる時間がやってきた。海に浮かんだフロートを引き上げ、それに続く幹縄を、機械でどんどん巻き上げていく。水深600mまで伸びている幹縄を巻き上げるのには、20分以上の時間がかかる。

まだかな、とそわそわしていると、大きな黒い影がゆっくりと水中から引き上げられてくるのが見えた。ニシオンデンザメだ。

次回“ニシオンデンザメと奇跡の機器回収”に続く・・・・・

■□参考資料:初追跡、ホホジロザメの広域回遊 □■

   1年前の2013年3月、フロリダ州ジャクソンビル近海でリディアと名付けられたメスのホホジロザメにタグが取り付けられて以来、研究者たちはずっとその動向を注視してきた。先週末、体長4.4メートルのそのサメは、大西洋で大規模な回遊が確認された初めてのホホジロザメとなり、研究者らの絶え間ない追跡努力がついに報われることとなった。 研究者はこれまで、ホホジロザメが長い旅をすると考えてきたが、実際に記録されたことはなかったと、カリ フォルニア州ラホヤにあるアメリカ海洋漁業局の漁業研究生物学者ヘイディ・デュワー(Heidi Dewar)氏は語 る。

 リディアは3月14日現在、大西洋の中央を南北に連なる大西洋中央海嶺のすぐ東側、カナダのニューファンド ランド島とアイルランドのちょうど中間あたりを回遊中。研究者たちは、中央海嶺の通過を、大西洋東部に入る 正式なポイントと見なしている。

 リディアは、最も長い距離を移動したホホジロザメと確認された。ヨーロッパへ旅立つ前、アメリカ東海岸沿 いを移動し、これまで約3万2000キロを泳いでいる。ホホジロザメを捕獲しタグを取り付ける方法を開発した団 体「Ocearch」は、ホームページ上でリディアの経路をリアルタイムで公開している(www.ocearch.org)。

 このように大きな肉食動物の追跡は、近年になって技術が進歩するまで不可能であった。
 リディアが海面に浮上し、背びれに取り付けられたユニットが海上に出ると、衛星タグが位置データを発信す る仕組みになっている。以前使用された保存記録タグでは、研究者がユニットを回収して、データを取り出し、 サメの経路を再現するまですべての情報がそこに保管されていた。

◆1つの大きな家族?
 これまで、地中海とアメリカ東海岸沖に生息するホホジロザメは、別々の群れであると慣例的に考えられてき た。しかし、ホホジロザメはヨーロッパやポルトガル西部のアゾレス諸島でも確認されてきたと、今回リディア にタグを付けたマサチューセッツ州海洋漁業局のシニア漁業科学者グレッグ・スコーマル(Greg Skomal)氏は 述べる。リディアのようなサメからのデータを見ると、「彼らが一つの大きな群れのように思えてくる」と同氏 は話す。

「事実、ほかの海洋生物の大洋移動を見てみると、それが当てはまる。例えば、北大西洋にはヨシキリザメの単 一の群れがあるようだ」と同氏は付け加えた。

食べ物を追って
 なぜリディアはヨーロッパへ向かうことにしたのか?
 3月7日、追跡データは彼女が大西洋中央海嶺沿いを北に向かって泳いでいることを示した。その海域には豊富 なエサがある。おそらくそれが理由で、海底山脈の上を泳ぎ回っていたのだろう。

 一方、太平洋におけるホホジロザメの長距離移動も、たいてい食べ物が関係していると、カリフォルニア大学 デービス校のホホジロザメ専門家ピーター・クリムレイ(Peter Klimley)氏は述べる。サンフランシスコ近海 のファラロン諸島とバハカリフォルニア近海のグアダルーペ島にはアザラシやトドのコロニーがあり、毎年9月 から11月にかけてホホジロザメが集まる。

 その後サメたちは、太平洋中央へと移動する。そこで彼らが何をしているのかはいまだ調査中だが、やがて彼 らは同じ海洋性哺乳類のコロニーがある海岸へと戻っていくとクリムレイ氏は説明する。

帰還
 リディアがアメリカ東海岸に再び戻って来るかどうかについて、デュワー氏はその可能性が高いと考えてい る。「それはメスザメの典型的なパターンのようだ。出産をして、食べ物を探し回り、非常に長い距離を2年ぐ らい旅してから戻ってくるだろう」と同氏は述べる。
「まだ十分な数のタグが大きなメスザメに取り付けられているわけではない」と、デュワー氏は注意を与える。

「メスザメは群れにとって実に重要な存在であるが、その生態が明らかになるまで、サメたちを保護するための 保全計画を立てることは難しいようだ」。   PHOTOGRAPH BY ROBERT SNOW, OCEARCH  文=Jane J. Lee

◆ ニシオンデンザメ|ジョナサン・バードのブルーワールド

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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