最近のスピーカーは、バイワイヤリング接続に対応しているものが多いです。
では、この『バイワイヤリング接続』と『シングルワイヤリング接続』のどちらを選ぶのが良いのでしょうか?
「音質からすればバイワイヤリング接続でしょう!」 とのお話が一般的です。
でもこれは、同じケーブルを使った場合の比較です。
『バイワイヤリング接続』と『シングルワイヤリング接続』のどちらが良いかということについて、私の経験からお話させていただきます。
<お勧めは?>
オーディオを楽しまれている多くの方は、限られた費用でどうしたら良い音が出せるかを考えられていると思います。
この現実的な点からすると、お勧めするのは『シングルワイヤリング接続』です。
<理由のご説明>
バイワイヤリング接続のメリットは、ウーファーの逆起電力が高域用のスピーカーに及ぼす影響を低減できることにあります。
また、スピーカー付属のジャンパー金具を使用しないため、これによる音質劣化も防ぐこともできます。
実際に試してみると高域の再生音が向上する(雑味が少なくなり澄んだ音になる)ことが確認できます。
但し、バイワイヤリング接続は魔法の杖ではなく、バイワイヤリング接続でスピーカーケーブル自体のクオリティ(解像度、情報量、ダイナミックレンジ等)が上がるわけではありません。
つまり、そのスピーカーケーブルが持っている音質が向上するわけではないということです。
次に現実的にコストを考慮しますと、バイワイヤリング接続は高域用と低域用でスピーカーケーブルが2セット必要となり、シングルワイヤリング接続の2倍の費用が必要となります。
逆に考えますと同一費用であれば、シングルワイヤリング接続の場合には、バイワイヤリング接続と比較すると2倍の価格の、より高性能なケーブルを購入できることになります。
一般的にスピーカーケーブルの2倍の価格差は大きく、ケーブルの本質的なクオリティが大幅にアップします。
同じ費用をかけるという前提で比較しますと、バイワイヤリング接続の音質向上は限定的ですが、シングルワイヤリング接続はケーブルの本質的なクオリティを上げることができるため音質向上は全体に及びます。
よって、限られた費用という現実的な点から、お勧めするのはシングルワイヤリング接続ということになります。
最後に、費用的に十分な余裕があるのであれば、高品位なケーブルを2組使用してバイワイヤリング接続を行うことによる音質向上にも、大きな魅力があることを付け加えさせていただきます。
この場合には、高域用と低域用に同じスピーカーケーブルを使用されることをお勧めいたします。
この理由を簡単にご説明いたします。
2ウェイの場合であれば、ウーファーとツイーターに分かれますが、この2つは全く異なる帯域を再生しているわけではありません。
クロスオーバー周波数の付近では、ウーファーとツイーターから同じ音が出ており、この合成音を聴いています。
バイワイヤリング接続で、高域用と低域用に異なるスピーカーケーブルを使うと、ケーブルの電気特性も異なります。
この場合、クロスオーバー周波数の付近でウーファーとツイーターから出る音色に違いが生じ、本来の再生音にならない可能性が出てきます。
つまり、せっかく高音質化を目的にバイワイヤリング接続を導入しても、本来の効果が得られない可能性がありますので注意が必要です。
今回は『バイワイヤリング』と『シングルワイヤリング』についてご説明しまいた。
お役に立てましたら幸いです。
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