ケーブル日和【オーディオケーブルの超マニアックなお話】

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特注品のご紹介 フォノ用 XLR→RCA変換ケーブル

2023年11月18日 | 特注品ケーブルのご紹介

今回の特注品は『フォノ用 XLRRCA変換ケーブル』をご紹介します。

先ず写真を掲載させていただきます。

このケーブルは始めて見るという方が殆どではないでしょうか?

片方にメスのXLRプラグが付いており、もう片方はRCAプラグが付いています。

おまけにRCAプラグの根本から線がでており、先にYラグ端子が付いています。

市販品では私も見たことがありません。

このケーブルを特注で製作することになった経緯からご説明いたします。

 

あるお客様が、ケーブル工房TSUKASAの『XLRRCA変換ケーブル WTS-XR5000』を購入されました。

ケーブルを納品後、お客様から「接続したけれど音が出ない」という連絡がありました。

工房ではケーブル製作後に必ずケーブルテスターによる導通チェックや、LCRメータを使った電気特性の測定を行っています。

音が出ないというのは考えにくいため、お客様にどのような使い方をされているのか詳しく伺いました。

 

お聞きした結果、レコードプレーヤーの『LINN LP12』のバランス出力ケーブルに、今回の『XLR→RCA変換ケーブル』を接続されたことが分かりました。

どのような使用目的なのかを伺うと、バランス出力の音も聴くのだけれど、変換ケーブルでRCAに戻してMC昇圧トランスに接続して聴くこともしたいとのことでした。

また、MCカートリッジ消磁器(出力はRCA端子のみ)にも接続して使いたいとのことでした。

レコードプレーヤーの『LINN LP12』は出力ケーブルが直出しとなっており、通常はRCAケーブルが出ています。

お客様はバランス伝送ができるように、このRCA出力ケーブルをバランス出力ケーブルに交換されたとのことでした。

交換は内部を開けないとできないため、簡単にRCA出力に戻すために『XLR→RCA変換ケーブル』を購入されたということが分かりました。

 

『XLRRCA変換ケーブル WTS-XR5000』は、CDプレーヤー等のXLR出力用で設計していますが、レコードプレーヤーのバランス出力は信号配置が異なるため、接続しても音がでません。

変換ケーブルの詳細は、本ブログの下記のページでご説明していますので、よろしかったらご覧ください。

https://blog.goo.ne.jp/cable-tsukasa/e/b29533de0be87b16122c1c0b9d8858a8

 

それでは、具体的にご説明いたします。

LP12用バランスケーブルの構成と、XLRプラグのピン配列は以下の図の通りです。

 

一方、XLRRCA変換ケーブルの構成と、XLRプラグのピン配列は以下の図の通りです。

CDプレーヤー等のXLRバランス出力は、このケーブルでRCAのアンバランス出力に変換することができます。

さて、この2つのケーブルを接続したものが次に図になります。

MCカートリッジのHOT信号はRCAプラグに接続されていますが、COLD信号はXLRプラグのところで未接続状態になっているため、音楽信号を伝送することができません。

音がでない原因は、レコードプレーヤーのバランス出力は、CDプレーヤー等のバランス出力と方式が異なり、信号配置が違うためでした。

お客様にこのことをご説明し、購入された『XLRRCA変換ケーブル』は返品していただくこととしました。

そして、ご相談した結果、代替案として特注で『フォノ用 XLRRCA変換ケーブル』を製作することになりました。

この特注ケーブルは、工房で製作販売しているフォノケーブルとXLRRCA変換ケーブルを合体したようなケーブルになります。

 

この特注ケーブルの構成とXLRピン配置は以下の図になります。(実際のケーブルは、HOT2芯、COLD2芯の構造ですが図では簡略化しています)

 

このケーブルとLP12用バランス出力ケーブルを接続した図が以下の通りになります。

上の図の通り、MCカートリッジの出力(HOT信号、COLD信号)がRCAプラグまで接続され、完全な形でRCA出力に戻すことができます。

尚、ケーブルを接続する際の注意点として、『LP12のトーンアーム用アースケーブル』と『変換ケーブルのシールド用アースケーブル』は、両方ともフォノイコライザー(またはMC昇圧トランス)のアース端子に接続する必要があります。

 

この特注ケーブル『フォノ用 XLRRCA変換ケーブル』をお客様に納品し、接続いただいたところ無事音がでることが確認できました。

お客様からは「早速接続して試したところ音が出たときはちょっと感激しました。」「予想通りの結果が得られそうなので購入して良かったです。」とのコメントをいただきました。

 

今回ご紹介した『フォノ用 XLRRCA変換ケーブル』は商品化は行なっていませんが、ご希望がありましたら特注品として製作いたします。

尚、今回の写真のケーブルで使用したXLRプラグ「Switchcraft製 A3FBAU」はメーカー側の製造問題により入手ができなくなりました。

代わりに「FURUTECH製 FP-702F(G)」を使用して製作いたします。

無料でお見積りいたしますので、ケーブル工房TSUKASAまで気軽にお問い合わせください。

 



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