ケーブルで音は変わります。
ケーブルは音楽信号を運ぶ伝送回路です。
伝送回路ですから電気的特性があり、ケーブルによってこの電気的特性が異なるため、音が変わります。
今回は、ケーブルを伝送回路とみた視点から、どのような特性があるのか深く掘り下げてお話します。
基本は以下の基本3つがあります。
(1) 抵抗
(2) インダクタンス(コイル成分です)
(3) 静電容量
また、ケーブルには音に関わる次の特性もあります。
(4) 周波数特性
(5) 誘電体損(誘電体に交流電場を加えた時、そのエネルギーの一部が誘電体内部で熱となって失われる現象)
(6) インピーダンス整合(信号の反射や逆伝搬)※デジタルケーブルで問題になります
この(1)から(6)までは、ケーブル自体の特性で測定器で測ることができます。
それから、家庭などで実際にオーディオを鳴らした際には、ケーブルに流れる音楽信号を乱す外部要因があります。
それは、電磁ノイズやスピーカーなどからの外部振動です。
この外部要因から音楽信号を守る性能が次の2つです。
(1) 耐ノイズ性能
(2) 制振性能
もう少し詳しく説明します。
一般的な家庭でオーディオを聴く場合、周りには非常に多くのノイズが飛んでいます。
・電源からのノイズ
・パソコンからのノイズ
・携帯からのノイズ
・電化製品からのノイズ(最近はほとんどの製品にCPUが内蔵されています)
・オーディオ機器からのノイズ(特にデジタル機器やスイッチング電源)
これらのノイズは、低周波(商用電源の50Hzや60Hz)のものから高周波(Wi-Fi等の5GHz等)のものまで、非常に幅広い周波数に渡ります。
このようなノイズが、ケーブルの信号線に入るのをどれだけ防げるかというのが「対ノイズ性能」になります。
また、オーディオ機器で音を鳴らしたとき、スピーカーからの振動が空気や床、オーディオラックなどを通じてケーブルを微振動させます。
また、CDプレーヤー等のモータが内蔵された機器の場合には、モータや回転機構の振動がケーブルに伝わる場合があります。
また、オーディオ機器に内蔵されている電源トランスが振動する場合もあります。
このような振動がどこまで音に影響があるのか、疑問に思われる方もいると思います。
例えばケーブルインシュレータを使って、ケーブルを床から浮かすと音質が良くなるということがよく言われています。
これなどは床の振動をケーブルに伝わらないようにしたことの効果ですから、振動の影響は無視できないものだと言えると思います。
ケーブルが外部からの振動の影響をどれだけ防げるかというのが「制振性能」となります。
電気的特性や防御性能はケーブルによって異なりますので、これが音の違いを生み出します。
まとめると次の図のようになります。
尚、ケーブルの音質はこれだけでは決まらず、更に様々な要因があります。
例えば、ハンダの違い(鉛入りハンダと無鉛銀入りハンダ等)で、音質も変わる例です。
これは、別の機会にまた深くお話させていただきます。
ケーブル製作はとても奥が深いですが、またそこが楽しいところです。
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