オーディオ用ケーブルの芯線には、大きく分けて「単線」と「撚線」があります。
単線本来の音は以下の通りです。
・音に滲みがなく、非常に澄んだ自然な音色
・音に躍動感がある
・空間の再現性が高い
・音の立ち上がりが早く抜けのよい音
これを読んだ方には、いやいや単線って音が硬いし、独特の癖があると言われる方もいらっしゃると思います。
でも、それは単線が悪いのではありません。
実は「単線」単体では、共振(素材の鳴き)が発生します。
ケーブルを製作していると分かるのですが、単線を加工のためにリールから取り出して切ったりすると、机にぶつかったときに「シャーン」という音がする時があります。
これが単線の共振で、単線の太さや長さにより共振する周波数が変わります。
さて、この単線をケーブルとして加工した時、共振を抑える工夫をしていないと、これが音に乗ってしまいます。
硬い音であったり、独特の癖があると言われるのもこれが原因です。
単線が本来もっている素晴らしい音質を発揮させるためには、単線の共振を抑える工夫が必須になります。
単線の共振を抑える方法としては、アコリバ(ACOUSTIC REVIVE)さんでは「単線導体を楕円状」にして単線固有の共振を排除している例があります。
一方、ケーブル工房TSUKASAでは、樹脂製で断面が十字形の「十字形セパレーター」と単線4本を合わせて撚り合わせる方法で単線固有の共振を排除しています。
この方法は、柔らかいものと硬いものを組み合わせて共振を抑えるという方法で、実際、十字形セパレーターと単線4本を撚ったものは、硬いものにぶつけても全く鳴かない(共振が発生しない)状態になります。
アコリバさんもケーブル工房TSUKASAも、方法は違えど「単線固有の共振を排除する」工夫をして、単線の音質的な利点を引き出しています。
では、単線がなぜ「音に滲みがなく、非常に澄んだ自然な音色」といった音質になるのでしょうか?
これはアコリバさんの下記ホームページの『単線の優位性』解説されていますが、単線は「迷走電流」が起こらないことによります。
<ACOUSTIC REVIVE ホームページ>
https://acousticrevive.jp/portfolio-item/headphone-cable/
また、同じ導体断面積の単線と撚線を比較すると、単線の方が信号のロスが少なくなります。
これは、撚線の場合、内部の接触抵抗がロスの原因となるからです。
撚線は細い単線を複数本撚り合わせた構造ですが、単線同士が互いに接触することで、接触抵抗が生じます。
この接触抵抗により、電流の流れが妨げられ、わずかですが信号の損失が発生します。
このわずかな信号の損失が、音の違いとして表れてきます。
特に微弱な信号が影響を受けやすいため、音楽のエコーなどの聴こえ方が変わり、左右の再生空間の大きさや奥行き、高さの表現力が変わってきます。
私が昔、ケーブルを使うユーザ側であった当時、ケーブルの泥沼(俗にいう電線病)にハマり、いろんなケーブルを使いましたが、残ったのは「単線」を使ったケーブルでした。
当時は、詳しい理由は分からず、単純に単線の音が好きだったことを思い出します。
ケーブルの芯線に単線を使うか、撚線を使うのかはメーカーの音作りによります。
もちろん撚線を使った素晴らしい音質のケーブルも沢山あります。
ケーブルの音質を決める要素は非常に多くあり、単線か撚線かはその多くの要素の中の一つです。
しかし、とても重要な要素だと思っています。
私は、単線の音質の特徴である
・音に滲みがなく、非常に澄んだ自然な音色
・音に躍動感がある
・空間の再現性が高い
・音の立ち上がりが早く抜けのよい音
を重視し、ケーブルを単線を使って製作しています。
尚、電源ケーブルは、電気用品安全法により単線を使用できないため、このケーブルのみ撚線を使用しています。
「単線」の音、一度味わってみると病みつきになるかも知れません。
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