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「完全恋愛」

2012-01-21 16:55:09 | 書籍レビュー
「完全恋愛」牧薩次
小学館文庫

『第二次世界大戦末期の福島県の温泉地、東京からやってきた少年・本庄究
 は、同じ戦火を逃れてこの地に暮らしていた画家の娘・小仏朋音に強い恋
 心を抱く。やがて終戦となり、この地方で進駐軍のアメリカ兵が殺される
 という事件が起こる。しかし現場からは凶器が忽然と消えてしまう。
 昭和四十三年、福島の山村にあるはずのナイフが、時空を超え、瞬時にし
 て西表島にいる少女の胸に突き刺さる。
 昭和六十二年、東京にいるはずの犯人が福島にも現れる。
 三つの謎の事件を結ぶのは、画壇の巨匠である男の秘められた恋であった。
                          (文庫裏表紙より)』


ミステリーとは,とか恋愛小説とは, と言うとよくわからなくなるので
小説とはこういうものだ。 と評させていただきます。
いやいや、完璧。まいりました。
完璧すぎて、感想が短いです。笑
2009年「第9回本格ミステリ大賞」受賞作品だそうです。


スケールがとんでもなくでかい。
東京と福島という距離・・・ではなくて
時代が。
1冊の中に、中心は全編通して究(きわむ)なのですが、3世代ぐらいに渡る時間が流れています。
しかし間延びせず、どこも手を抜いた形跡がない。
恋愛部分もミステリー部分も、まったくもって堂々としています。

・・・いや、"中心は全編通して究"・・・なのか?

結局、全ての真相を知っている者は誰なのか、
読了後もそれはハッキリとはわかりません。
だからといって後味が悪いわけではありません。そこまで含めて、この作品なのかなと。


けれどとにかく究が切ない。
何度か涙が出ました。
究だけでなく、その周辺の人物たちも色々抱えているのですが、
読み終わったあとは、さらに究が切ないです。うぅーん。


他者にその存在さえ知られない罪を「完全犯罪」と呼ぶのならば、
他者にその存在さえ知られない恋は「完全恋愛」と呼ばれるべきなのだろうか。


という意味でのタイトルですが、
もう、文句ないです。。文句のつけようがない。
感動しすぎてもはや褒め言葉も思いつきません。笑

話が何重にも覆われていて複雑そうなのに分かりやすい。でも安っぽくなんかない。
壮大な物語に小洒落たトリックも遊ばせていて、もうなんともたまらんです。
流行作家の軽めのミステリーを読むのもいいけど、
この本を読まないと、読書人生では損しているかもしれませんよ。


ただ、上記あらすじ中の第ニの事件、”時空を越えるナイフ”ってやつですが、
それの福島にあったはずのナイフが消えている謎が回収されていない気が・・。
究の弟子の推理どおり、ということでいいのかな?
気になるのは、それぐらいですかねー。

あとこれは全然物語と関係ないことなのですが、「突き出し」って言葉が出て来ます。
東京でいう「お通し」ですね。
西の方ではそう言うのだったか、愛知の人と話しているときにその言葉が出て話題になったことがあります。
「突き出し」が出てくる場面の舞台は東京だし、そこにいる登場人物は福島出身です。
東北の方がどう言うのかまでは知りませんでしたが、「おや~?もしかして、作者が西出身?w」と思ったところ、
どんぴしゃで愛知の名古屋出身でした。笑
編集者が口出ししなかったところをみると、編集も西の方なのでしょうか。^^


作者の牧先生は、辻(←本来は点が二つ)真先という名で色々な仕事をなさっているようです。
アトムの脚本とか書かれているすごい方のようだ!知らなかった!
最近だとコナンの脚本も書かれているらしい!w
気になる方は、「辻真先」で検索してみてくださいねv



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>画像  模写(「BLACK JACK」)
     PSE。

文庫コミック1巻より。
いつものようにジブリにしようかなーと思ったのですが、
牧先生が手塚治虫先生作品に関わっていたということで、
「完全恋愛」ぽいシーンを「ブラック・ジャック」から。

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