商店街のはずれにある一軒の魚屋。
店先から通りのシンボルとなりつつある巨木が生えている。
近所の子供たちからは「怪獣」だの「キリン」だのと呼ばれている大きな木だ。
以前は、小さかったという一本の木。
日に日に大きくなっていく木を見た店の奥さんが「御神木かもしれない」と言っていたのだが奥さんは、ある日ご主人を残して亡くなってしまった。
今では根の部分が店の床を持ち上げてしまい、入り口付近をも圧迫しつつあるのだが
それでもご主人は、木を切り倒す事もせずに巨木とともに細々と商売を営んでいる。
「御神木かもしれない」といった奥さんの言葉と存在を巨木に重ね合わせているのだろうか。
今日も巨木は、商店街と道行く人を見守っている。