
20代の頃に
高田敏子さんの講演を聞いたことがある
詩と生活のようなテーマだったと思うけれど
少しは詩心があるとチヤホヤされていた頃だったので
随分高い位置からものを言う人だと感じたものでした
それから数十年して
再び出会った詩を読んで
あれは強くて脆い彼女の鎧だったのか
と思うようになり
そのきっかけかな?
高田さんの言葉に
私たちの毎日は、心配ごとや疲れること、悲しい思い をすることがずいぶん多い。でもなお生きつづけていられるのは何かしら、と思うのだ。それは日常の草むらにかくれている小さな歓び、自然の優しさ、そして、ひそやかな愛の息づきなのではないだろうか。私はそれらをテーマにしたいと思った とあり タイドプールを見ていて (いくら見ていても飽きない) ふと思ったのです ここにも 小さな歓び、自然の優しさが あるのだろう 満潮になれば隠れてしまうタイドプールは やがて潮が引けば また新たな営みが始まる 去るものもあれば 訪れるものもある 小さな宇宙 そこにはたしかにひそかな愛の息づかいがあります |


時が刻みし
岩礁に
寄する泡波
満ち満ちる生命
波ひきて
続く潮溜まり
ぴょんぴょんと
はしゃぐ心に
時を忘れて