劇場版 機動戦士ＺガンダムIII 星の鼓動は愛

観にいってきました。
で、まずどうでもいい話かもしれませんが、
サブタイトルがちょっと気になるんですよね。
Ⅰ星を継ぐもの
Ⅱ恋人たち
Ⅲ星の鼓動は愛
やっぱり　Ⅱのタイトルだけ浮いてる気がしてしょうがありません。
こういう並びになるならⅡも「星～」で統一したほうがよかったんじゃないだろうか。
監督には悪いですが、Ⅱの内容も到底ラブストーリーとして見られるものではなかったと思いますし。
このタイトルで先入観もって観るとよけいに何か違うと感じてしまったんではないでしょうか。
Zの映画としてはうまくまとめてあったと思うんですが。

んで、今回が完結編であり、そもそもZの映画化に際してはTVと異なる結末というのが、
大きな話題になっていたわけで、観客の期待も大きいのではないかと思っていたんですが、
いってみたらⅡ同様空席が目立ちました、Ⅰのときの立ち見まで出た状況はなんだったんだろうと思ってしまいます。
Ⅰの時とⅡ以降で客層に大きな違いがあって、
それは中高生女子がいるかいないか。
わかりやすいですね、ようするにＳＥＥＤのファンが観にいったかどうかということです。
結局その辺の好みにはいまいちそぐわなかったのでⅡ以降目に見えて観客が減ってしまったようです。
いろんな意味でやるせないです。

で、肝心の本編の内容ですが、実のところTV版Ｚの内容をほとんど忘れている私のような人間にとってはとても面白く見られる内容でした。
あくまでダイジェストとして。
初代ガンダムの映画と比較してやっぱりその中で起きている事象が多い上に、
あまり省略できないのが災いしてⅠ以上に展開が速く感じます。
その上、劇中での時間の経過が充分に描かれていないので、
アクシズがエウーゴと話し合った後、即座にシロッコやティターンズと会見しているような印象を受けてしまいました。
実際には間の時間は何日か経過しているはずなんですが、その辺がわかりにくいんですよね。
新作カットも戦闘シーンに関してはいまいち印象が薄くて、むしろ人物描写のほうがよかったという印象。
特にエマとヘンケンの場面はなんだか微笑ましくていい感じでした。
二人の迎える最期を知ってるので悲しくもなるわけですが。

えーと、それからジェリドがすっかりいらない子扱いでした。
すごい適当な扱いで、なにしろ一度バイアランで出撃してきた後、
次の出撃では何の説明もなしにバウンドドックに乗っていてびっくりします。
撃墜された時にせりふもないし。
TV版での「カミーユ、貴様は俺の……」の続きが聞けるかと思ってたんですけどね。

結末についてはある意味TV版より普通の結末。
当時TV版の結末が大きな衝撃を与えたわけですが、それと比べればいたって普通。
このときのせりふが少し違いますが、そのニュアンスは正直私にはわかりかねました。
そしてジ・オに突撃する際に死者の魂が力を貸す描写がありますが、
そこになぜかロザミアがいることに激しく違和感。
今回の映画ではロザミイにはなってないので、ここで出てくる必然性がまったくない上に、
Ⅱでギャプランが撃墜されたときには彼女は脱出してるんですよ。いつの間に死んだのやら。

もうひとつ気になったのが、TV版では最後にハッチが開いた状態の百式の胴体が移って、
クワトロの生存を暗示していたわけですが、この描写が在りません。
めぐりあい宇宙のラストでわざわざ新作カットでシャアらしき人影を写していたのとは対照的です。
もうガンダムはやらないよ、という監督の意思のあらわれでしょうか。

総じてみると充分楽しめましたが、それはある程度Ｚガンダムについて知識のある人に限られるでしょう。
勝手な印象ですが、今の円熟した監督が過去の若気の至りを清算しているかのような、
当時のとがった印象を与える部分をマイルドなものに作り変えたという気がします。
でもまあ、結局当時のファンに対するサービスの域を抜け切れなかったのかもしれません。