京急・国分寺の思考回路

なんとなく、思った事や考えた事を書いていきます。

雪の足音

2006-01-22 02:15:21 | 言葉のお遊び
外の空気は冷たく、雪の匂いがする。
足音がかすかに聞こえる。

白の世界は冷たく、黒の闇に浮かびあがる。
それは、雪を踏む誰かの足音。

かすかに聞こえる。
懐かしい音。

それは、降る雪の中へと消えていった。
遠い世界へ消えていった。

・・・てなことを、ホームで考えながら
電車に乗り込んだ。

7人がけの真中に座る。
すぐ、異変に気づいた。何か臭う。

左隣に座ったアベックは発車の前に
席を立った。

右隣の人は中腰になり、座ったシートを
確認した。

自分も座るときシートを見た。
前に座っている人も何か感じているみたい。

アンモニアが腐った?ような、臭い。
呼吸することが死を意味するような、臭い。

ふた駅目でわかった。ドア横の3人がけに、
一人のおじさんが座っている。

キャップをかぶっているが、変に黒い顔。
汚れたジャンパーに汚れたテカテカのズボン。

荷物の入った大きな手つき紙袋。
そう、ホームレス風のおっちゃん、その人。

降りる人は逃げるように降り、
乗ってきた人はマフラーで無意識に防御する。

自分も降りた駅で深呼吸。
冷たくひえた澄んだ空気。

雪の香りがした。
たくさんの足音が聞こえる。

そうだ、家に帰る足音だ。
それは、暖かい家に帰る足音だ。

懐かしい足音。
昔、暖かい父の背中で聞いた。あの足音だ。











コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする