大阪ヨーロッパ映画祭もいよいよ佳境に入り、「アラビアのロレンス」、そしてその映画音楽を作曲したモーリス・ジャール氏のドキュメンタリー映画が明日、上映されます。映画祭のプロデューサーのパトリス・ボワトーさんは随分前から、モーリスさんと打ち合わせをしていましたから、もう今夜は平常心で眠れそうにありませんね。ヨーロッパの名作映画の回顧展の企画立案から新作映画のセレクションまで殆どすべてのことをパトリスさんがお一人で決断なさるのですから、大したものだと私は感心しています。勿論、パトリスさんを支えるスタッフの皆さんのチームワークと情熱にも頭が下がります。
ドキュメンタリー映画の秀作「WATARIDORI」を日本初上映したのが、大阪ヨーロッパ映画祭でしたので、その作品がその後、日本でもヒットし、アカデミー賞にノミネートされた時には、私はとても嬉しく思いました。その後、「皇帝ペンギン」がついにアカデミー賞を獲得した時には、フランスのドキュメンタリー映画の長い歴史と伝統が評価されたように感じられて、私は感無量になりました。
今から50年以上も前に撮影されたクストー監督の「沈黙の世界」は深海の神秘を捉えたドキュメンタリー映画の秀作ですが、それ以降もフランスのドキュメンタリー映画には、自然の驚異や神秘を映し出した優れた作品が数々あります。
しかし、フランス映画というと、まず恋愛映画が頭に浮かび、しかもその恋愛がなんだか辛気臭そうで苦手という人の気持ちも私にはよ~くわかります。関西人的には「なんや、もう話、終わったんかいな」とか「なんちゅう結末やねん」とか「もう~、知らんがな~」みたいなラブ・ストーリーもあって、突っ込みを入れたり、駄目出ししたくなるようなフランス映画も実はかなりあると私はひそかに思っています。だからこそなのかもしれないのですが、私の教室でフランス映画上映会をしましたところ、生徒さんのお一人お一人が、めちゃくちゃ面白い意見や見方を語って下さって、私はそれが楽しくて、何度もフランス映画の上映会を催しました。名目はフランス語の勉強のためということでしたが、実は私が生徒の皆さんと一緒に映画を観るのがただただ楽しくて、映画観賞会を催していました。映画大好き人間のボグダン先生が加わって下さったので、ますます面白くて、私はこの映画会をいつも楽しみにしていました。全く無償の催し物だったから、心の底から楽しかったのかもしれませんね。ボグダン先生には、こっそり映画会の謝礼をお渡ししようとしましたが、彼はいつもにっこり笑顔で、決してそのような報酬は受け取りませんでした。ボグダン先生の優しい気持ちが生徒の皆さんに伝わっていたのか、映画鑑賞後の会話では、私だけでなく、生徒の皆さんも心から楽しそうにお話したり、笑ったりしていました。興に乗って、フランス語でぺらぺら会話している生徒さんもいたので、私の当初の目論見も自然と達成されました。いろんな映画を生徒の皆さんと一緒に観ましたが、特に思い出に残った映画について、次回、お話しますので、聞いて下さいね。
そして、明日からは、大阪ヨーロッパ映画祭で、めったに会えないような映画人にお目にかかることが出来ますので、お時間のある方は是非会場に足を運んで下さい。
ブノワ・マジメルさんの来日が中止となりました。とても残念です。楽しみになさっていた方、本当にごめんなさい。