Charme de France

小さなフランス語教室の主宰者の個人的なブログです。(*^-^*)

アカデミー賞作品賞と...☆国際的俳優

2009年03月09日 | 映画・ドラマ

今年のアカデミー賞で作品賞を獲得した「スラムドッグ$ミリオネア」はインドが抱える問題を見事に活写した小説「ぼくと1ルピーの神様」を映画化した秀作であるが、残念ながら、日本では、この優れた映画作品とその原作である小説について殆ど紹介がなされなかった。同様に、主演女優賞を受賞したケイト・ウィンスレットの「愛を読むひと」もその原作「朗読者」も日本では殆ど話題にならなかった。

ハリウッド映画の低迷が語られるようになって久しいが、映画はただ、ハリウッドや日本だけのものではない。実際、映画界で活躍する人達の国籍は多様で、映画が扱うテーマも世界もまた多岐に渡る。芸術的な作品からメッセージ性や娯楽性の高い作品まで、映画を通して、学び、楽しむことは多い。

「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督の足跡を辿ると、「ビーチ」、「サンシャイン2057」と映画を通して、時空を超えた美しい冒険が楽しめる。彼の作品に主演した男優には、「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオ、「麦の穂をゆらす風」のキリアン・マーフィ、そして「たそがれ清兵衛」の真田広之がいる。

ダニー・ボイル監督作品「サンシャイン2057」でキャプテン役を務めた真田広之の演技は控えめながらも渋さが漂い、重厚であった。また、彼の流暢な英語には定評があるが、本国イギリスで魅せた「ハムレット」の道化役、そして「リア王」での名演は圧巻で、スラングも高貴な言葉も自在に使いこなす彼の英語能力の高さは、舞台、映画の中で遺憾なく発揮されている。

もの静かで、清貧に生きる侍と精悍で峻厳な侍。真田は「たそがれ清兵衛」と「ラストサムライ」の中で、対照的な侍を見事に演じ分けた。いぶし銀の底光りの魅力を湛えた「たそがれ清兵衛」は日本的情緒が漂う名作であるが、真田の協力なくしては成し得なかった大作「ラストサムライ」もまた忘れ難い名画である。日本、アメリカ、イギリス、中国とまさに国際的な活躍をしている真田広之のような俳優にもっとスポットライトが当たっても良いように思われるが、出演作品以外では、奥ゆかしく、多くを語らないその姿勢もまた日本男児の美徳であろうか。真田広之の国際舞台でのますますの活躍に期待したい。


「たそがれ清兵衛」とともに「母べえ」もしっとりとした日本的情緒を湛えた素晴らしい作品でした。吉永小百合さんを始め、出演者の皆さんすべて抑制の利いた素晴らしい演技を魅せて下さいました。山田監督の円熟味溢れる「母べえ」が日本アカデミー賞で無冠に終わったことは本当に残念でした。


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