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さすがに、原作をいじるなんてことはできなかったのだろう。
どこかをいじれば、他のところまで変わってくるから。
だから作りとしては納得している。
それだけ完成度の高い作品。
結末を知っているから、入り込めるかな?と心配はあったが、それは杞憂だった。
1人1人の個性がきちんと描かれていて、すごく楽しめた。
特に第二夜、三谷幸喜氏オリジナルの犯人側の目線からのドラマは見ごたえがあった。
時折「現在」が差し込まれるので、一瞬だけ「あれ?」と思うところはあったけど(笑)
原作では、多種多様な国籍の人が登場するのだけど、ドラマでは日本人だけ。
昭和初期に舞台を持ってきた以上、これが精一杯の改変だったのだろうな。
携帯電話なんてもちろんない、インターネットだって当然ない。
現場に残されたものと、乗客からの証言だけで真相に迫っていく様は凄いとしか言いようがない。
最終的には、誰も逮捕されずに終わったわけだけど…。
「背が低く、浅黒く、女のように甲高い声の持ち主の男」、もし存在していたらどうするんだろ?という疑問が…(笑)
まぁ、あの場所にそれに該当する人間がいる、という確率は限りなく低いだろうけどね。
そして、すごく感銘を受けたのが、第二夜のガーデンパーティーのシーン。
主人に、親戚に、使用人たち、全員が同じテーブルを囲んでの、パーティー。
使用人たちまでが一緒にテーブルに着く、なんて当時は考えられなかったはず。
だからこそ、あそこまで一致団結できたのだろうなと納得した。
もし、使用人たちに対して、普通以上にぞんざいな扱いをしていたら、あんなに人は集まらなかっただろうなと思う。
やはり「人徳」って大事なんだなぁと改めて気付かされた。