『オイラのカツラを返しやがれ!』
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世の中には、時が流れても色褪せることのない名演・名盤ってぇのがいくつかございますが、今回ご紹介する『Hound Dog Taylor and the HouseRockers』も間違いなくそのなかの1枚。
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'71年のデビュー・アルバムですが、ジャケ写真には彼のブルース観がよく表れていると思います。
表ジャケ写真は、長い地道な活動ののち、やっと表舞台で演奏できる喜びに満ちた表情。 大勢の客前で演奏する彼の映像を観ても、ひたすら楽しそうです。
一方、まるで琵琶法師(実際見たことありませんが)のような苦渋に満ちた表情の裏ジャケ写真は、怒と哀に埋もれるように生きてきた彼の真実の顔のようにも見えます。...勝手な想像ですが。
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彼のプレイ・スタイルはもろにElmore James直系のスライド。 奏でる曲調は軽快なブギーと、Elmore Jamesスタイルのスロー・ナンバーのほぼ2タイプのみとシンプルですが、ベロベロに歪ませた日本製テスコのギターから発せられるサウンドは相当にインパクト強いです。
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そして忘れてならないのが、トリオを組むザ・ハウスロッカーズの2人の存在。
もう一人の(g)Brewer Phillipsは、テレキャスで主にベース・ラインを奏でます。ベース代わりですな。 この人のギターは結構好きでCDを何枚かもってますが、このアルバムでも⑥、⑩で、Taylorとは一味違ったハジケル名演を聴くことができます。
そして、(d)Ted Harveyは阿呆烏の好きなトップ5に入る名ドラマーです。正確で音数の多いスタイルは弩級の推進力になっております。
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相性バッチリで最強のトリオでしたね。
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癌で他界される'75年(享年60歳)までの短い期間に残されたほかの音源にも、迸るエネルギーが凝縮されておりますので、是非ご一聴を。