□本日落語一席。
◆三代目桂歌之助「稽古屋」(NHK大阪放送局『とっておき!朝から笑タイム』)。
NHK大阪ホール、令和5(2023)年7月6日収録(第437回「NHK上方落語の会」)。
稽古屋の師匠のもとへ、芸ごとを習いに来た男がまったく稽古が身に入らんので、師匠が「うちに何しに来たん」と言うと、「色ごとのために」と答え、師匠が「それではうちではあきません。色は指南(思案)のほかでございます」と言って落げ。これが通常の型。
これは「色は思案のほか」という慣用句を利用した地口落ち。『日本国語大辞典』によると、浄瑠璃の『壇浦兜軍記』に出てくる文句らしく、「景清程の勇士なれども実に、色は思案の外」とある。
恋愛は常識でははかりがたいものがあるという意味だが、庶民生活に浄瑠璃が流行っていたころは、よく使われた言葉だったのだろうか。今はどうだろう。まずもとの出典は多く知られていないのは推察される。語句の意味を吟味すれば、わからないことはないかもしれないが、瞬時に意味を取れる可能性は低いかもしれない。
そこで、三代目歌之助は、次のようにかえた型で演っていた。師匠に詰問された男が「色恋のわかる男になろうと思うて」と言うと、師匠が「色は似あわん。もう来い(恋)でもええわ」で落げ。まあ、従来型よりはわかりやすいか。さて、これは歌之助が考えたものか。ただ、もしかすると、「もう来い(恋)でもええわ」の部分は、関西人以外には理解されないかもしれない。
◆三代目桂歌之助「稽古屋」(NHK大阪放送局『とっておき!朝から笑タイム』)。
NHK大阪ホール、令和5(2023)年7月6日収録(第437回「NHK上方落語の会」)。
稽古屋の師匠のもとへ、芸ごとを習いに来た男がまったく稽古が身に入らんので、師匠が「うちに何しに来たん」と言うと、「色ごとのために」と答え、師匠が「それではうちではあきません。色は指南(思案)のほかでございます」と言って落げ。これが通常の型。
これは「色は思案のほか」という慣用句を利用した地口落ち。『日本国語大辞典』によると、浄瑠璃の『壇浦兜軍記』に出てくる文句らしく、「景清程の勇士なれども実に、色は思案の外」とある。
恋愛は常識でははかりがたいものがあるという意味だが、庶民生活に浄瑠璃が流行っていたころは、よく使われた言葉だったのだろうか。今はどうだろう。まずもとの出典は多く知られていないのは推察される。語句の意味を吟味すれば、わからないことはないかもしれないが、瞬時に意味を取れる可能性は低いかもしれない。
そこで、三代目歌之助は、次のようにかえた型で演っていた。師匠に詰問された男が「色恋のわかる男になろうと思うて」と言うと、師匠が「色は似あわん。もう来い(恋)でもええわ」で落げ。まあ、従来型よりはわかりやすいか。さて、これは歌之助が考えたものか。ただ、もしかすると、「もう来い(恋)でもええわ」の部分は、関西人以外には理解されないかもしれない。