□本日落語一席。
◆桂慶治朗「いらち俥」(NHK総合『令和5年度NHK新人落語大賞』)。
NHK大阪ホール、令和5(2023)年11月11日生放送。
改作「いらち俥」である。「いらち俥」は、老齢で身体の弱い俥屋と、若くて元気な俥屋の噺で、後者が「いらち」の俥屋ということになる。
慶治朗は、その二人を登場させつつも、客が、身体の弱い俥屋をキャンセルして、元気な俥屋を見つけたあと、その俥屋が一人でかってに走っていったあと、ふたたび年寄りの俥屋を登場させた。
ふつうは、かってに走っていった俥屋がまたもとに戻ってきて、ここから所謂「いらち」ぶりを発揮するという展開になるのだが、慶治朗は、客がまた年寄りの俥屋に乗るという噺に改作した。
そして、客と年寄り俥屋のちょっとしたやりとりがあって、「口車に乗る」という地口で落げである。
十一分という制約のなかで、確かにおもしろく聞かせた再構成の「いらち俥」ではあった。ただ、古典落語を大幅に改作するのだったら、その必然性が知りたかったという気もする。
これを演り出すと、すべての古典落語について、演者のつごうでどんどん改作がかさねられていって、何通りもの筋が存在する古典落語であふれ出すようにならないだろうか。
それでもおもしろければいいのだろうか。いいという考えかたもあるだろう。自分にはよくわからない。
◆桂慶治朗「いらち俥」(NHK総合『令和5年度NHK新人落語大賞』)。
NHK大阪ホール、令和5(2023)年11月11日生放送。
改作「いらち俥」である。「いらち俥」は、老齢で身体の弱い俥屋と、若くて元気な俥屋の噺で、後者が「いらち」の俥屋ということになる。
慶治朗は、その二人を登場させつつも、客が、身体の弱い俥屋をキャンセルして、元気な俥屋を見つけたあと、その俥屋が一人でかってに走っていったあと、ふたたび年寄りの俥屋を登場させた。
ふつうは、かってに走っていった俥屋がまたもとに戻ってきて、ここから所謂「いらち」ぶりを発揮するという展開になるのだが、慶治朗は、客がまた年寄りの俥屋に乗るという噺に改作した。
そして、客と年寄り俥屋のちょっとしたやりとりがあって、「口車に乗る」という地口で落げである。
十一分という制約のなかで、確かにおもしろく聞かせた再構成の「いらち俥」ではあった。ただ、古典落語を大幅に改作するのだったら、その必然性が知りたかったという気もする。
これを演り出すと、すべての古典落語について、演者のつごうでどんどん改作がかさねられていって、何通りもの筋が存在する古典落語であふれ出すようにならないだろうか。
それでもおもしろければいいのだろうか。いいという考えかたもあるだろう。自分にはよくわからない。