竹林亭白房

春若「抜け雀」★落語

□本日落語一席。
◆桂春若「抜け雀」(NHK-Eテレ『日本の話芸』)。
NHK大阪ホール、令和5(2023)年12月7日収録(第441回「NHK上方落語の会」)。
若き絵師が、以前一文なしとして逗留した宿へ出世して戻ってくるところが、落げに至る最後の件(くだり)である。通常、父親の絵師が自分の知らぬ間に宿屋を訪ねて止まり木と鳥籠を描いて行ったのを知った若者絵師が、「自分は不孝者だ。親を籠描き(駕籠舁き)にしてしまった」と言って落げである。

「駕籠舁き」が人から卑しめられる職業だということを噺のどこかで仕込んでおく必要がある、ちょっとめんどうな落げだ。
ただ、この落語の眼目は落げにないので、通常この従来型でみなだいたい演じている。この落語の落げをこれまでにかえたことがあったのは、東西で桂南光だけだったろうか。

今回、春若は次のようにかえていた。出世した若き絵師が宿屋に戻ってきて、父の話を聞き、以前自分の描いた絵をしみじみとながめて、このときの絵は自分の情けなさが表れていると慨嘆する。「どこが?」と問う宿屋の主人に、「このときは本当にとまるところがなかった」と答えて落げである。
雀が木に「止まる」と宿屋に「泊まる」を掛けた地口だ。でも、同じ地口でも「籠描き」「駕籠舁き」の地口よりはよいかもしれない。さて、これが広く用いられるようになるだろうか。

番組のオープニングトークで、春若はこのネタを二年前に他界した十一代目桂小米に習ったと言っていたが、落げまで教わったものなのかどうかはちょっとわからない(調べるすべがない)。
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