今回の「ロープ」も戦争ネタです。
これは、ひとことでは語れないネタなんですが、
とりあえず、今思いつくものを。
■内容について
人はもともと同種を殺すことにためらいを持つものなんだそうです。
第二次世界大戦での人を目の前にしての発砲率っていうのは、
10~15%なんだそうです。
ほとんどの人が発砲できないんですね、人に対して。
しかし、ミライ村(ソンミ)の虐殺のように、90パーセントぐらいの
兵士がミライ村の人に対して発砲できたのは、それは、教育によるところが
大きいんだそうです。
ベトナムの人を黄色い猿(非人格化)と教え込まれていたんだそうです。
だからこそ、残虐できたんだそうです。
そう考えると、教育の影響力って大きいですよね。
戦争もののテレビやら映画やらお芝居やらはなんか、
どうも、ピンとこないっていうんでしょうか、・・・・。
なんか、いまいちのものが多いように思ってたし、
戦争について語ることに、疑問をもっていました。
しかし、今回のテーマで掲げている観点からの戦争については、
しっくりきました。
それで、「ロープ」について、参考になりそうな本をみつけたのでここで紹介。
(というか、自分へのメモ)
■『戦争における「人殺し」の心理学』
本来、人間には、同類を殺すことには強烈な抵抗感がある。それを、兵士として、人間を殺す場としての戦場に送りだすとはどういうことなのか。どのように、殺人に慣れされていくことができるのか。そのためにはいかなる心身の訓練が必要になるのか。心理学者にして歴史学者、そして軍人でもあった著者が、戦場というリアルな現場の視線から人間の暗部をえぐり、兵士の立場から答える。米国ウエスト・ポイント陸軍士官学校や同空軍軍士官学校の教科書として使用されている戦慄の研究書。
野田さんのような考えをもった人がもっとメディアでも
訴えていってほしいと思いました。
うまくまだ自分の言葉にはできないですけど、人間の弱さを知っておくこと。
それに目を背けずにいることが、引き金をひかない人になれることなんでは
ないんだろうか?と思いました。
そういう意味で、戦争の歴史を伝える必要はある。
・・・しかし、ミライ村(ソンミ)の虐殺のような場に放り込まれたときに、
自分の理性を貫けるか・・・となると難しんだろうなぁ。
だからこそ、そんな状況(多くの人が、残虐に走る状況)にならないためにも、
多くの人に、人の命の大切さ、人の心の弱さを知ってもらうべきなんだろう。
それを教育すべきなんだろう。
そうすることで、残虐は減っていくのではないだろうか。
そして、戦争やテロなども。
一部の人間だけでなく、すべての人間に必要な教育だと思う。
それでも、人を殺す人は出てくるだろうけど、
絶対的に数は減ると思う。
しかし、今の日本でどのように、そのことを教育すべきか・・・。
そういう意味で、今回の「ロープ」はそのヒントが多く隠されて
いるんだろうなぁと思います。
まずは、私自身が、戦争による心理と実際の歴史をもっと
知るべきなんだろうなぁと思います。
■役者さんについて
宮沢りえさんの役は本当に難しい役だなぁと思いました。
実況でしゃべり続けるのも、これも難しいだろうし、
役どころも人間であって、人間でないような、でも、やっぱ人間って
役どころなので、それも難しいなぁと思いました。
んで、渡辺えりこさんは強烈キャラで面白かったです。
でも、なんといっても今回すごく感じたのは、藤原竜也さんが
うらやましいなぁということ。
あ、いや、かっこよさが、とかそういうことでなくて。
彼は本当に年々すごみが増しているように思います。
野田さんの芝居などに打ちこめるっていうのにも
すごく羨ましいなぁと思ったわけです。
実際の自分の生活と比べると、いろいろなことに対して、
考える量が全く違うんだろうなぁと強く感じたんですよね。
パンフを読んで、それは余計に思ったわけですけど。
毎日毎日、あの芝居に出演することで、そのことについて毎日
毎日考えられるんですよね。
それも自分の身をもって考えられる。
すごくそれが羨ましいなぁと思ったんです。
自分の成長と仕事が直結しているといえばいいのかなぁ。
もちろん、どの仕事でもそれは可能なんだけど、
でも、演劇のような人の考えを深く探っていくような、
それも、身をもって探っていうような、
そんな仕事ってなかなかないもんですよね。
いや、野田秀樹という演出家に出会ってこその羨ましさなんですけどね。
■舞台美術について
舞台上にリングがあって、奥に向かって傾斜していたので、
見えにくいなぁと思っていたんですけど、それが回転して
びっくりしました。
必要ないときは、リング上が見えない方がスッキリしてみえるので、
回転式を、それも傾斜のある舞台の回転という面白いアイデアだなぁと
思いました。
それと、会場に入って舞台上が薄暗いときにはあんまし
気がつかなかったんですけど、舞台が始まるとすぐに、
たぶん、バックの大量な文字に目が行くと思うんですよね。
1番からずっと何かの文字が並んでいる。
それは500番までくらいある。
何が書かれているんだろうと最初は気になって読もうとするんだけど、
字が小さいし、英語っぽいので読みにくいんですよね。
で、しだいにその文字のことを忘れて舞台に引き込まれていくんですけど。
でも、話が展開していくうちに、その文字の重さに気づかされるんですよね。
それに気づいたときはすごく衝撃的だった。
残虐で殺された村民の名簿なんですよね。
名前の横には年齢も書いてあった。
一桁の数字からありました。
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ちくわぶ
○○タコ
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