えんじゃけん

森口の不思議(「告白」感想!その4)

ラストの森口の表情も謎深いのですが・・・


ネタばれありです。

森口という人間を考えていくときに,
映画の中でポイントになるんじゃないかと思うものを
いくつかあげます。

■彼の血を牛乳に混ぜようとした行為

私的には森口の行動の中でここが一番「?」なんです。

彼の血を混ぜるという発想。
もし,自分の大切な人がHIV感染していたとして,
その血を道具のように使えるのだろうか?
ここに,森口の心の闇がまず見えてる箇所だと思います。

彼は有名な教育者。
しかし,現実はそうでなかったのだと思います。
あやふやな記憶なのですが,たしか,彼がアジアで派手なことをして(?)
感染したみたいな話をしてたような・・・。
表では立派な教育者であることからの息抜きのアジアだとしても,
森口にとっては許せない行為だったろう。
彼を愛している心も残っているが,彼を同時に憎む心も存在していたのではないか?
もし,彼がアジアでそのような行為をしなければ,
シングルマザーになることもなかったろう。

そんな彼をみて,教育にたいして諦めににたものを彼女は感じていたのではないか?
その表れが,あの学級崩壊状態のクラスからうかがえる。
きっと彼女はサラリーマン教師のような感じであのクラスの担任を
もっていたのだろう。
昔は違ったのかもしれない。
まだ彼と恋人同士のころは,教育に熱い思いを寄せていたのかもしれない。
彼にあこがれ,頑張っていたのかもしれない。
けど,その彼がHIV感染。
それも彼自身の責任においての感染(違ってたらすいません・・・)

話し合って,子どものためにシングルマザーを選んだと言っていたけど,
森口の内心では,彼を許せない心もあってのシングルマザーへの同意だった
ような気がします。

そして,彼女は子供を学校に連れてきて保健室においたまま,
仕事をするわけです。
これは,子どもをそばに置いておきたいから・・・というものとは
違う理由からだと思います。
その証拠に森口は子どもが保健室に置かれている間,一体何をして
すごしているのかを全く知らないでいました。
たぶん,これは,経済的理由からそうせざる負えない状況だったのかなと。
シングルマザーだからの経済力の弱さゆえなのかなぁと。
もしかしたら,彼に援助していたかもしれませんしね。
そこらへんはわかりませんが。

こういった苦しさも彼に対してあったと思うんですよね。
彼が感染してなければ経済的にももっと余裕だったろうなとか,
子供をもっと見てあげれたのになとか。

あと,教育者の鏡のような存在だった彼の血を,生徒たちの牛乳に混ぜる行為は,
これって彼に対する復讐にもなるのかなぁって思いました。
だって,そうですよね。
教育者の鏡的人物の血で,子どもたちがHIV感染したってことになれば,
かなりのスキャンダルです。
彼の名前に一気に傷がつくでしょう。

森口は,彼を失おうとしている矢先に,子どもを失い・・・。
その気持ちを考えると,とても辛く思います。
自分でも制御できない部分もあったろうと思います。
自分でも理解しがたい感情もあったろうと思います。
自分にばかりなぜ,不幸がふりかかるんだとも思ったと思います。

かなり歪んだ見方かもしれませんが,
森口は自分と同じ思いをする仲間が欲しかったのではないだろうか。
そんな気さえしてきます。
もし,そうだとしたら,最後の少年を愛おしそうに見る目に納得というか。
最後の表情って憎しみの表情とは違いますよね・・・たぶん。

きっと森口はクラス内のいじめについて知っていたと思うんです。
でも知らないふりをして教員をつとめてたんだと思うんです。
いじめだって,命の教育にかかわるはずなのに,
それには目をつぶっていた。
けど,娘が殺されてそれに関してだけは命の教育・・・いや復讐をした。
最後の彼女の少年Aに向けた言葉は教育者らしい言葉ではあるが,
たぶん,教育者としてした復讐ではないと思う。
だからの「なんてね」なのかなと思いました。
森口はきっと少年Aの苦しむ姿をみて,命の教育が必要なのは自分自身だと
気づいたのではないだろうか?

「これが私の復讐です。本当の地獄・・・ここから,あなたの
更生の第一歩が始まるんです」

そんなこと,とても言える立場じゃないんですよね,森口は。
教師って立場,そのばかばかしさっていうのかな。
きれいごとを並べるだけの教師の愚かさっていうのでしょうか。
教師だってもっと人間的であっていいはずなんですよね。
いつも理想ばかりいうことがいい教師とは言えない。
実際,その最後のセリフは理想であっても少年の心を救わない。

そういうことがわかっていれば,彼は感染せずに済んだのかもしれない。
森口ももっと違った人生を歩んでいたのかも知れない。

この復讐は彼に対する・・・言葉だけの教育者に対する復讐でもあったのかも
知れないなぁとこれを書きながら思いました。

コメント一覧

ちくわぶ
間違いのご指摘ありがとうございます。

その彼の経歴の上で,また何か思いついたら感想を書きたいと思います。
ki
私も映画見ました
 「教育」という観点からの感想、興味深かったのですが、彼の経歴が逆になってます。
桜宮はアジアで自暴自棄な生活をした後に教育者になっています。
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