★世界の一流企業は「RAW」データのクオリティで勝負する!
Kent Shiraishi の「写真論」vol.1を書きましたら、
モニターについての質問が来ました。
特に多かったのが、
「モニターと色調整ツールでおすすめはありますでしょうか?」
これは難しい質問ですね!
皆さんの予算の問題もありますし、
どんどん新しい良いモニターが発売されますから・・・。
ただ長く使うものですし、
カメラのように頻繁に買い替える必要もありません。
だいたい10年は使えますので。
そう考えますと、
メーカーの違いよりも、モニターの種類で選んで、
★「ハードウエア・キャリブレーション」タイプをお勧めします。
このタイプはモニター本体でカラー調整を独自に出来るような仕組みになっており、
接続するPCのグラフィック・ボードの影響を受けません。
そもそも個々のモニターに適した正確な調整が行いやすく、
モニターの持つ能力をフルに発揮できるシステムです。
また経時変化にも柔軟に対応しやすく色々設定できるタイプが多いです。
そして何より毎回カラー・マネジメント・ツールで調整する際に、
とても簡単に出来ます。
基本的にはモニターが勝手に内部で自動調整してくれるからです。
もちろんその分価格は高くなりますが、
10年使うと考えましたら、間違いなくそちらをお勧めします。
とにかく写真家にとってもっとも大切で重要な道具です。
カメラを選ぶ以上に真剣に時間をかけて探して下さい!
モニターで映し出される画像が、
貴方の見る最初の画像になり、
そこから全てがスタートするわけですから・・・。
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さてそういうことで、皆さんが
モニターとカラーマネジメント・ツールを手に入れたと仮定します。
この段階ではまだ宝の持ち腐れです。
ここからが大切で、
モニターの色調整を正しくしなければいけません。
ここで間違うとなんのために良いモニターを手に入れたのか?
意味がなくなります・・・。
ということで大切なのは色調整ですが、
以前書いた下記ブログで詳しく説明しています。
★写真家がすべきカラーマネジメントVol.1
★写真家がすべきカラーマネジメントVol.2
★写真家がすべきカラーマネジメントVol.3
★写真家がすべきカラーマネジメントVol.4
上記は時間を作ってぜひともお読みください。
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さて、これまで書いてきましたように、
写真家にとって一番大切な道具がモニターです。
自分の撮影した画像の色を、正しく見れない事ほど、
僕を不安にさせる事はありません!
逆に言いますと、
モニターで正しく色が鑑賞出来ますと、
安心して仕事ができます。
以前も書きましたが、
外国企業と仕事を進める上で、大切な事の一つが、
「お互いに同じ色の画像を見る事」です。
外国の一流企業であれば、
僕の方から自分の鑑賞環境を提示します。
ガンマ、白色度、輝度等、こちらの環境を教示する事で、
相手は理解します。
その点正直に言いまして、
日本の企業は一流と言えど、情けないというか・・・
僕の話す言葉の意味さえ理解できない方が少なくありません。
要するに、日本の企業には、
本物の「フォト・プロデューサー」が少ないという事でしょう。
広告代理店に任せているだけの企業も多いようですし・・・。
したがって写真家の仕事のスタンスも日本と外国では全く違います。
まず日本で仕事をしている写真家なら、
自分の撮影した「RAW」データをクライアントに渡す事は少ないはずです。
しかし欧米の一流企業では、
写真家に「RAW」データの提出を求める企業が少なくありません。
これは考えてみれば当然です。
写真家の撮影条件、加工の有無、現像技術等、
全てが分かるわけですから・・・。
また最高の画像クオリティは「RAW」にこそあるわけですから、
企業側で大きなパネルにしたり、あるいはデザイン加工する際に、
圧縮された「Jpeg」は使いたくない、あるいは使えない場合も多いわけです。
よって僕ら世界を舞台に仕事をする写真家にとっては、
この事が重要になります。
生意気言うようですが、
まだ日本でそこまでの意識と発想を持って仕事をしている写真家は少ないと思います。
逆に言えばだからこそ、今頑張れば、
皆さんも世界に出ていけます。
世界の一流企業から注目されるようになれるんです!
このブログを読んでいて、
将来国際的なプロフェッショナルを目指す皆さんは、
ぜひとも新しいアイディア、発想で挑んで下さい!
努力する者には絶対にチャンスがあります!!
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★クオリティの高い「RAW」データの創作
この事が写真家にもたらす恩恵は測り知れません。
まずギャラが高い!
大切な「RAW」データを渡すわけですから、
一枚当たりのギャラを相当高く請求できます。
それこそ写真一枚で一年食える。
そういう仕事もあります。
また今現在、デジタルは発展途上の技術です。
これからどんどん良くなります。
カメラはもちろんですが、
「現像ソフト」もどんどん進化します。
よってクオリティの高い「RAW」データを創作しておきますと、
将来何度でも現像をやり直せますので、
極端な話、10年後には全く違った作品として蘇る事になります。
僕の発想は、
「データの創作は常にベターを目指す。ベストは将来の楽しみにする」
ようするに5年後、10年後にもっと理想に近い現像が出来るはず、
そう考えて今は、出来うる最もベターな創作を心がけています。
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ところでだいぶ昔の話を書きますが、
今から約10年前に手に入れたNikonのD100。
わずか600万画素のカメラです。
しかも価格は最新のD800と同じでした。
しかし当時はエポックメーキングな1台で、
その発売を喜び、画質に僕は歓喜しました。
その当時、まだまだ巷のプロは「Jpeg」での撮影がほとんどでした。
当時僕の宿に出入りしていた「・・・写真家協会」の癖のある連中も、
ほぼ100%、皆さん「Jpeg」での撮影でした。
僕が上で書いたような「写真界の将来の展望」について語ると、
笑われて・・・相手にしてもらえませんでした・・・笑
今も昨日の事のように思い出します。
僕が思うに、もし何か僕が人と違う部分があるとすれば・・・
それは・・・「先見性」だと思います。
写真の世界は将来こうなっていくはず・・・という、
将来を見据えた先見性が、多少他の方よりあったのかな?
そんな気がします。
そして大切な事はそのために準備をしてきた事です。
例えば10年前から撮影は全て「RAW」です。
NikonのD100の時代は、非圧縮RAWで撮影していました。
1GBのCFが5万円近くした時代です。
考えてみれば、周りから「馬鹿じゃないか・・・」、
そう笑われてもしょうがないですね・・・笑
・・・しかし
それでもどうでも、なんと言われようと、
★「写真家にとって唯一の財産はRAWデータの創作である!」
そう信じて、当時から撮影していました。
その考えが正しかった!今まさにそう思います。
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そのD100で撮影した1枚、下記をご覧ください。
約10年前に、600万画素のRAWデータで撮影した画像です。
当時は自然な色にする方法が分からず、カメラの眼で撮ったままでした。
今であれば下記のように、「Retina Photo」に簡単に出来ます。
全てRAWで撮影していたので、
現像ソフト、現像術が進化すれば、
10年前の画像も現代の作品として蘇るのです。
夕日の太陽も良く見て下さい。
カメラの眼で撮影した画像はブルーミングが大きく、
太陽が壊れた感じがします。
最新の現像ソフトを使えば、もっときれいに太陽も表現できます。
デジタル現像術の世界では、10年は大昔になります。
RAWで撮影していれば、10年前の作品でも、また600万画素であっても、
このように新しい作品に生まれ変わるのです。
いつか時間が取れましたら、
過去の素晴らしい作品を「Retina Photo」にして発表するつもりです。
皆さんも常に時代の先を読む、「先見性」を大切にされて、
今後の撮影に活かして下さい。
・・・以上第3回目を終了します。
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