福岡タワーとの対話

タワーと出会い早30年。動画制作にも意欲を持つ令和版高齢者!

炎天下に母を訪ねる

2018年07月15日 22時39分03秒 | 閑話休題
2018年7月15日日曜日、天候晴れ。午後9時半現在時外気温28.6℃湿度78%、北の風2.2m/s。
三連休の中日、久しぶりに母を訪ねる。
2011年10月、特養に入所した母。
もう七年の年月が経とうとしている。
月日の経つのが早い。
母の特養への入所については過去記事「母の入所」に詳しい。


クルマを廃車した我が家では、移動はもっぱら公共交通機関だ。
地下鉄〜バス。
最寄りのバス停から母の入所する施設まで徒歩。
ムッとむせ返る空気。
猛暑を思わせる今日の福岡地方。
バス停を降りると陽炎立つ?アスファルトを、歩くこと十数分。
最近使い始めたハットを被り、溶けそうなアスファルトの歩道をテクテクと歩いた。
首筋、背中はすぐに汗をかいた。
子供の頃、母に手を引かれ、真夏の田舎道を歩いた記憶がよみがえった。
あのとき被っていた帽子は、麦わら帽だった。
幼稚園児の頃か。60年も前のことではないか。
断片的に脳裏に刻まれた風景、そして暑かった空の青さ。

その当時の母の年齢は37、8歳か。若かったな。
37、8歳と言えば、現在同居している長女の年齢か。

その母、今年98歳になる。
母は自室でなく、ベッドに横になったまま、フロアのロビーにいた。
寝ているのか、両目とも閉じていた。
そばの丸イスに腰を掛け、扇子で風を送った。
閉じた目をうっすらと開け、じっと私を見た。
「かあちゃん」と呼んだ声に、少し反応したように見えた。
タオルケットの隙間から母のすねが見えた。
そっとさすったそのすねは、ほとんどが骨と皮だった。
さすった時、“ぴくっ”と母が反応した。
その母を限りなく愛おしく思った。
少なくなった白髪の頭をなでた。
母はじっとしていた。
ときおり、言葉にならない声を、母は出した。
息子だとわかっているのだろう、そう思いたかった。

どれくらい居ただろうか。
語ることもなく、ただ横に座っていた。
それだけで、息子として十分だった。
母と時間を共有していることが嬉しかった。
生きていてくれることに感謝した。

母の自室の窓から、真っ青な空が見えた。
健康的な空の色。
60年前の色と一緒だったような気がした。

施設を辞する時、「お変わりなく過ごされてますよ」と施設の職員。
日頃のお世話に感謝は尽きない。
「よろしくお願いしますね」と礼を述べた。

「またくるよ」と呼びかけ、じっと見つめる母の目を見ながら、
フロアを出て、エレベータのボタンを押した。




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