あとがきにて著者は、「要するに好きに生きればいいのだな」と思うような読者に出会えれば、とコメントしています。ここが気に入りました。
プリン体(高尿酸値)が悪い、コレステロールが悪い、高血圧が悪い、といって薬で医学業界で決められた正常値にはめようとするけど、誰にとっても検査の数値を整えることが人生の目的ではないはずです。
なぜそうなのか、なぜそれがダメなのか、1つの偏った情報に流されずに個人個人が考えるべきなのです。
「健康第一」「究極の食事」で心が満たされていますか?
いまだに日本には「コレステロールが高くなるから卵は1日1個まで」と信じてやまない人が多くいますし。(コレステロールは細胞膜の形成や、ホルモンバランスに重要なものです。低すぎてもいけません。実際には食物で摂取するコレステロール量よりも、体内で生成される量の方が多いのです。)
データ上でガンでの死亡率が減ってきたとします。
「検診で早期発見の効果が出た、良かった!」となるのでしょうか?
人間はいずれ何かしらで亡くなるのだから、ガンでの死亡率が減っても、心疾患・脳血管疾患・肺炎などで長期間闘病したうえで亡くなる事も多々あります。
ガンでの死亡率が減ったからと言って全てがハッピーではないのです。
著者曰く、「ガンで死ぬ人を減らしたければ、一番効果的な方法はおそらく、他の原因で死ぬ人を増やすことだ」と述べています。
かなり極論ではありますが納得です。
限られた人生、病気や死因が問題なのではなく、いかに生きるかが重要なのだと改めて考えさせられます。
血液検査の結果を正常値内に収めるために食事をするのではなく、血圧を正常範囲と言われている枠内にはめるために食事をするのではなく、「健康」のために生きるのではなく、自分がどのように生きたいのかを早いうちから考えなくてはいけないと思いました。
本のタイトルの通り「健康」という枠にしばられ過ぎて、好きな事を我慢し続ける人生は健全とはいえませんね。
何事もほどほどに。
本書内で、樹木希林さんの「一切なりゆき」と言う本の中の一節を紹介しています。
「病というものを駄目として、健康であることだけをいいとするだけなら、こんなつまらない人生はないだろう」と。
確かに晩年は前向きに病と共に歩んだ人生でしたから、説得力のあるお言葉です。
この本も読んでみたくなりました。
※この本の情報が全てではありません。ただ一つの正解なんてありません。
TV・雑誌・ネットなどで得られる様々な健康情報を鵜吞みにせず、多くの意見(肯定的な意見だけでなく反対意見も読み込む)を基に自分の頭で考え判断することが大切です。
何をするにも何を止めるにも何を我慢するにも、ストレスとなる事は身体によくありません。
科学的根拠があって本当に効果のあるものでも、高価であったり手間がかかりすぎるなど、無理なく継続できるものでなければストレスになります。
エビデンスがなくても、自分が心地よく楽しく感じられれば、食事も美味しく食べられ、ぐっすりと眠れて楽しい日々を過ごし、身体機能や抵抗力にもある程度良い方向に働くのではないかと思います。
このぐらいのスタンスでいないと、健康を追求しすぎて病んでしまいますから。