フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白ソニー・ピクチャーズエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
これは歴史的な勇気ある告白だ。しかし、教訓4は「効率を最大限高めよ」である。これは、太平洋戦争中にグアムでルメイ将軍の下で、日本の空襲をいかに効率的効果的に行うかを立案している体験から出ている。この研究がルメイ将軍の無差別爆撃作戦を促したことは間違いないと認めている。自分はそれを企画したわけでないとしても。その意味では自分は戦争犯罪人として罰せられて仕方がないとしている。
その次の教訓5は「戦争にも目的と手段の釣り合いが必要だ」というものである。これは暗に原爆投下を批判している。必要なかったという考えだ。あれだけ、無差別爆撃で日本の抗戦意思を砕いたのだから、原爆は過剰な仕打ちである。
以上が日本に関する発言だ。あとは、ベトナム戦争に関するもので、彼はベトナム戦争の拡大に反対だったのだが、個人の意に反して、拡大路線をとらざるを得なかった無念を漏らしている。
後はフォード社長時代の経験から、教訓6の「データを集めよ」を引き出している。事故の原因を集めたのだ。
教訓9は「人は善をなさんとして悪をなす」である。これは歴史的に南北戦争でも、南軍の拠点であったアトランタをシャーマン将軍率いる北軍が焼き尽くした非人道的戦術を行使した。ルメイの日本無差別爆撃も同じ趣旨である。目的はいいのだが、手段を選ばずということがあってよいか、という自省の弁である。
これは、今日でも当てはまる。イスラエルのパレスチナ虐殺、ブッシュ政権の反テロに名を借りた非人道的侵略政策はそれに他ならない。むろん、ロシアのチェチェン独立を抑圧する政策や中国の辺境民族の抑圧政策も同様である。