著者は東大医学部を卒業後NHKに入局し、医療・福祉・健康分野をメインに取材をしたり番組を監修したりしている方です。
様々な健康情報がTVやインターネットで簡単に入手できる現代、これらの情報やいかにもそれらしいデータをいかに見極めるかが重要である、という事が本書では述べられています。
動物での実験結果なのか、人間でのデータなのか、論文発表されたものなのか、学会発表されたものなのか。
「〇〇学会で発表された」と書かれると、それっぽく見えますが、物によってはまだ研究途中で、不動の確実な効果が認められたわけではない物もあるかもしれません。
審査を通って論文発表・掲載されたとしても、後に却下されているものもあるかもしれません。
表現は悪いですが、データは都合の良いものだけを収集することもできますし、操作もできるでしょうし。
そもそも「〇〇は健康に良い」といった情報でも、その辺で買える食品であれば薬でないので、そこまで効果を期待しない方が良いと私は思います。
バナナで血圧が下がるなら薬なんていらないでしょうし、そんなに効果が出るものならスーパーの店頭に安価で並んでいないでしょうし。逆に低血圧の人にとっては、バナナが危険な食べ物になってしまいますし、そんなことは聞いたことがありません。
逆に「〇〇は身体に悪い」というものでも、毎日大量に食べれば大問題かもしれませんが、時々嗜好品としてたしなむ程度なら美味しくいただけるでしょうし。
痩せるような効能を謳ったお茶でも、糖や脂質の吸収を遅らせるデータはあるのかもしれませんが、「痩せるお茶」として期待しない方が良いですよね。
そこに余計なお金を使うなら、お菓子を減らす・白米を10g減らす・揚げ物を1品減らす方が、全体的にエコな気がします。
何事も情報に踊らされずにほどほどに、ですね。
※この本の情報が全てではありません。ただ一つの正解なんてありません。
TV・雑誌・ネットなどで得られる様々な健康情報を鵜吞みにせず、多くの意見(肯定的な意見だけでなく反対意見も読み込む)を基に自分の頭で考え判断することが大切です。
何をするにも何を止めるにも何を我慢するにも、ストレスとなる事は身体によくありません。
科学的根拠があって本当に効果のあるものでも、高価であったり手間がかかりすぎるなど、無理なく継続できるものでなければストレスになります。
エビデンスがなくても、自分が心地よく楽しく感じられれば、食事も美味しく食べられ、ぐっすりと眠れて楽しい日々を過ごし、身体機能や抵抗力にもある程度良い方向に働くのではないかと思います。
このぐらいのスタンスでいないと、健康を追求しすぎて病んでしまいますから。