NHKスペシャル病の起源〈1〉睡眠時無呼吸症/骨と皮膚の病/腰痛 | |
NHK「病の起源」取材班 | |
日本放送出版協会 |
NHKスペシャル病の起源〈2〉読字障害/糖尿病/アレルギー | |
NHK「病の起源」取材班 | |
日本放送出版協会 |
本書は平成20年にNHKスペシャルで放送された「病の起源」の内容をもとに書かれたものです。第1巻では睡眠時無呼吸症・骨と皮膚の病・腰痛を、第2巻では読字障害・糖尿病・アレルギーについて書かれています。
この本は、糖尿病はこのような病気で治療はこうで予防法はどう、と説明しているのものではありません。
「病の起源」のタイトル通り、このような病気がなぜ私たち人間を苦しめるのか、その原因を人類進化のプロセスの中に探っていくものです。ですので現代病とか、戦後の食生活の変化でとか、ここ100年でとか、そういったスケールでの考察ではありません。そこがこの本の楽しい所なのですが、普通に病気について治療・予防法だけを知りたい人にはとても遠回りで難しい内容になってしまいます。
もともと人類は適する場所で適する生活を営なみ、そこの土地の生活環境に対応する身体をつくってきました。しかし人類の進化以上に文明や生活の環境(自然や食、衛生など)が変化してしまい、人間の身体がそれに適応できていない、そのために皮膚や内臓、免疫システムに異常が発生するのです。
人類の進化なんてとても遠い世界の話のような気がしますが、病気を異なる側面から見ることで、病気に対する考え方・見方が変わるのではないでしょうか。
人類とは?文明とは?進化とは?病気はなるべくして起きてしまっているのか?人間が病気をつくってしまったのか?今から変えることはできるのか?いろいろ考え出してしまい、楽しく読むことができました。
この本は市立図書館で通りすがりに見つけましたが、あまり多くの人に読まれていないようで、折り目もなく新刊同様にとてもきれいでした。
やはり病気に対する興味は「○○で病気が治る!予防できる!」といった類のほうが圧倒的なのでしょう。
本当は原因を知ることが予防にとって一番重要なんですよね。