センセイの鞄 (文春文庫)川上 弘美文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
評判のこの本を読んでみた。さすがに作家の筆力のせいで、ぐんぐん作家の世界に引き込まれていく。主人公は高校の時の国語の教師と教え子であったツキコさんの淡い5年間に及ぶ恋の物語である。舞台は駅前の居酒屋で10数年ぶりに再会することで始まる。
乙羽信子が新藤兼人を最後まで「センセイ」と呼んでいたように、このセンセイという表現は自然であり、むしろ、親愛度が深まる。
いろんなところにディテールが散りばめられていて、自然に物語が進行する。
うまいなあと思ったのは、主人公の自問自答、夢の使い方、屋台での酔客の罵詈雑言、高校同級生との関係・会話などである。これで、夢のような話にリアリティが付け加えられた。
彼女の他の作品も読みたくなった。