「愛のことば」は1995年9月発売のアルバム「ハチミツ」に収録されています。
草野さんは、恋愛を歌いながらも、直接的な「愛」という表現をあまりして
こなかったように思います。この歌のタイトルで珍しく直球で「愛」ときましたが、
歌っているのは恋愛ではなく、人類愛、平和を求める愛ではないでしょうか。
「夜を駆ける」のような空想の世界ではなく、戦闘状態にある国に住む市民が、
今現実に起きていることを嘆き、悲しみながらも、また平和が訪れることを
希求してやまない。
未来を搾り取られるような毎日、戦争賛美のプロパガンダ映画、
同じ人間とは思えないような残酷な戦闘行為、じゅうたん爆撃で破壊され
燃え上がる街、常に死と直面している命。
しかし、煙につつまれ、絶望の中にいても、敵と味方が1つになれる道を
探し続ける。愛のことばを信じて。
そして、立ちこめた暗雲の切れ間から光が差してくるように、
いつか和解のチャンスが訪れる。そのときを逃してはならない。
ベースとドラムの重めのリズムは曲想にマッチして聞きごたえがあります。
なかでもベースは、少し歪ませた輪郭をぼかしたような音が無機質に響き、
陰うつな雰囲気を3割増ぐらいにしています。
話が暗かったので、最後はアルバム名にちなんだおいしいものを。
8月3日は「はちみつの日」です。
おしまい