ささやか きゃらこ

文章を作る練習も兼ねて
普段のあれこれをここに綴っています。
よろしくお願いします。

初恋 ~おもひで話~

2020年10月05日 | 日々のこと
先月、叔父の法事がありました。
生涯独身、子どももいないため
兄である私の父が取り仕切り
その日に 私の実家のお墓に入りました。
関東に住んでいたため
新型コロナの事もありスムーズに進まず
どうなる事かと心配でしたが
まずはひと段落つきました。

この叔父とは何度会った事があるだろう・・・
私の結婚式に出席してくれたのですが
物心ついてからの初対面がその前日でした。
夜、実家の玄関で会った時
父とそっくりだったのですぐに分かりました。
「あ、叔父さん・・・ ですね?」
「うん、そう。
 キミがきゃらこ(仮)かな、この度はおめでとう」
披露宴会場から直行で帰っちゃうし
長居もせず あまり多くを語らない人でした。
でも、それからは結婚記念日に
フルーツが届くようになりました。

妹の結婚式の時はちょっと顔を合わせた程度でしたが
祖父や祖母の他界で会った時には
悲しみ、もしかして後悔があるのかななんて顔や
そんな時でも
まだ小学生だったウチの子の相手をしながらの満面の笑みなど
会った回数は少なくてもいろんな顔を思い出します。
そしてじつは
会った事もない中学生の頃からこの叔父には
ほんのり親しみを持っていたんです。

中1の いつ雪が降りだしてもおかしくない頃。
部活帰りの真っ暗な中、
ぽわんと明るい
校門の前にある 購買の役割も兼ねた個人商店の前で
そのお店の奥さんに声を掛けられました。
「多めに煮たんだけど つまんでいかない?」
いつもの事なんです。
湯気でそのかぼちゃがあったかい事はすぐにわかります。
そう、あの日はかぼちゃだったのを覚えています。
みんなでひと切れずついただいて
もぐもぐしながら幸せ気分で帰るのですが
なぜかあの日は私ひとりでした。
だからでしょうね、
「ちょっと話してかない?」
と誘われ一緒にベンチに座りました。

「Aくんってきゃらちゃん(仮)の叔父さんじゃない?」
「うん そうだよ、かよちゃん知ってるの?」
会った事はなくても存在は知っていたのでそう答えました。
「同級生なのよー。きゃらちゃん(仮)似てるから
 もしかしてって思ってたんだ。」
私は父親似なので
叔父の顔は知らないけど あり得るぞと納得しました。
たまに帰ってきたりすんの?
結婚してるのかな? 家族は?
なんて質疑応答のあと
かよちゃんは懐かしそうに話してくれました。

かっこよくておもしろくて声もよくてねー
いろんな話したのよー
一緒に話してると楽しくってねー
ちょっと人気あったのよ
私の初恋。

「そうなんだぁ、なんか不思議なカンジ^^」
「不思議なカンジはこっちの方よ~^^」
「そんなに似てたの? 私と」
「うん、あの頃はこ~んな顔してたよ」
かよちゃんに両手でほっぺをはさまれながら
かよちゃんの照れ笑いを見て私も照れ笑い
「あ、一応旦那にはナイショね、知ってはいるけど」
「ふふふ 言わないよ~」

そんなかよちゃんは
若いうちに亡くなっています。
考えてみるとあの時から数年後の事になるんだと思います。
もう25年位経っていますね・・・

えーっと 3・4年位前かなぁ、たぶん。
病気になって施設で暮らしているときいていた叔父ですが
「突然家に来たのよね」と 実家の母から連絡が。
叔父の希望で父とお墓参りに連れて行ったとの事。
きっと 今行かなきゃもう行けないと思ったんだろうね
なんて話していたら
「うちのお墓にお参りした後
 かよちゃんのお墓にもお参りしたいって言われて
 ご住職に教えてもらって手だけ合わせてきたのよ」
「ふ~ん。・・・ えっ あっ かよちゃん‼」
30年近く前に聞いた恋バナ。
ちょっと照れたかよちゃんの笑顔。
誰にも話す事のなかったあの話をすごい勢いで思い出しました。

「かよちゃんの初恋は叔父さんだったらしいよ。
 もしかしたら叔父さんもそうだったのかもね~」
「え そうなの!?
 そしてそれをなんであなたが知ってるの?」
母はいろいろびっくりしていましたが
「中学生の頃
 かよちゃんとそんな話をした事があったんだよね」
と答えるとそれにも驚いていたようでした。
その時 実家に滞在中の叔父に会いに行きましたが
それが5回目かなぁ。
そして先月、骨になった叔父を
骨壺からおはしでお墓に移した時が6回目・・・
という事になりますね。

薄情かもしれませんが
実際に会った事が少なかったからか
亡くなった事に対しての実感や悲しみは少なくて
私的には
あんな事やこんな事を思い出し
叔父を近くに感じて偲ぶ法事になりました。


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