映画「Ostinato」を観た。
2023年カナダの短編アニメ。
監督はソニア・フリエ。
わずか7分間の作品だ。
音楽家が自宅でピアノに向かって
作曲している。部屋の窓から屋外
の様々な音が聞こえてくる。その
音に邪魔されて、作曲が進まない。
音を排除しようとしても叶わない。
諦めた音楽家は、その音に寄りそ
うように音を紡ぎ、新たな境地に
辿り着く・・・。
セリフも文章表記も無い。わずか
7分の動画と音楽のみだが、伝わ
るものは十分にあったと思う。
"Ostinato"とは音楽用語だ。ある
音楽的なパターンが何度も繰り返
されることらしい。作曲家の苦悩
と閃きは過去から幾度となく繰り
返されてきたのだろう。
雨音など自然の音に音楽を見出す
姿には、TVドキュメンタリーで
見た晩年の坂本龍一を思い出した。
達人の境地は計り知れないが、目
を閉じて音に耳を傾けると、生命
とか、時間とか、世界がそこに在
るのを感じられる気がする。
短い映画を観る時は、通常よりも
緊張する。冗長なものは削ぎ落さ
れ、伝えたいことが凝縮されてる
と思うから。見逃すまい、聞き逃
すまい、と思うのだ。