いい話しですね!
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世界一、水水(みずみず)しい国、日本へ 第4回・企業編(5月31日)
第3の第3のエネルギー革命。
水素の時代を前にして、
我々は躊躇するのか、
先頭走者を目指すのか。
「C からH へ」
渡文明(73)新日本石油会長
今、世界のエネルギー事情は第3の変革期を迎えています。第1の変革は木炭のような手近にあるエネルギーを使っていた時代から、地中に眠る化石資源、具体的には石炭を利用し始めた時代です。第2の変革は石炭から石油へ主役交代した時代です。私が入社した1960年はこの変革の真っ最中で、「石油の時代」の到来といわれました。そして今、第3の変革期にさしかかりつつあります。
□ □ □
新日本石油 渡文明会長
これまで人類は石油や石炭に含まれる炭素(C)を燃やして、発電したり、暖をとったり、クルマを走らせたりしてきました。それが地球環境問題という大きな制約に直面しています。私たちは新たなエネルギー源を見つけなければなりません。
そこで浮上してきたのが水素(H)です。石油に引けを取らないエネルギー密度を持ち、しかもほぼ無限に存在する。その水素を安全かつ効率よく利用できる技術を開発すれば、日本は「第3のエネルギー革命」の先頭走者に躍り出ることが可能です。
幸い日本には蓄積があります。たとえば、水素を利用して電力をつくる家庭用燃料電池。火力発電などの従来方式と違い、家庭内で発電するため、送電によるロスが生まれません。排熱を給湯などに利用することもできるため、発電所でつくられた電力を家庭に送るよりも、はるかにエネルギーの利用効率が高まります。日本はこの分野で技術や人材の厚みがあります。当社も周囲にまだ「脱石油」の意識が希薄だったころから、このような分野の研究に力を入れてきました。
中国やインドのような新興国でも、水素を使った小型発電所や家庭用燃料電池の需要は期待できます。中国では電話は固定電話でなく、最初から携帯電話が普及しました。インフラが整っていない新興国ほど、送電網などを築くのは難しく、分散型の発電設備の方が適しています。そのために必要な機器やノウハウ、人材を私たちが供給すれば、日本の成長戦略にも直結します。
水素の応用範囲はみなさんが想像される以上に広がっています。自動車の動力源に使えば、排出物が水だけという究極のエコカーが誕生します。年間を通して風が強い南米のパタゴニアのような場所で風力発電を行い、その電力で水を電気分解し、水素の形でエネルギーを日本が輸入することも可能です。水素をエネルギーの主役に据えることで、中東に偏在する石油の時代より日本のエネルギー安全保障は高まるでしょう。
「石油会社が水素社会にかじを切るのは自己否定ではないか」とよく言われます。しかし、当社は石油会社である以前にエネルギー会社なのです。これから世界の化石燃料の消費量は減っても、エネルギー消費の総量は決して減りません。「我々は未来型のエネルギー企業として会社の骨格を変えようとしているんだ」。社員には日ごろからこう呼びかけています。
□ □ □
「CからHへ」――。変革は大きな挑戦ですが、それは同時に大きなチャンスです。水素の時代を前にして躊躇(ちゅうちょ)するのか、積極的に前に乗り出すのか。日本は選択を迫られています。
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世界一、水水(みずみず)しい国、日本へ 第4回・企業編(5月31日)
第3の第3のエネルギー革命。
水素の時代を前にして、
我々は躊躇するのか、
先頭走者を目指すのか。
「C からH へ」
渡文明(73)新日本石油会長
今、世界のエネルギー事情は第3の変革期を迎えています。第1の変革は木炭のような手近にあるエネルギーを使っていた時代から、地中に眠る化石資源、具体的には石炭を利用し始めた時代です。第2の変革は石炭から石油へ主役交代した時代です。私が入社した1960年はこの変革の真っ最中で、「石油の時代」の到来といわれました。そして今、第3の変革期にさしかかりつつあります。
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新日本石油 渡文明会長
これまで人類は石油や石炭に含まれる炭素(C)を燃やして、発電したり、暖をとったり、クルマを走らせたりしてきました。それが地球環境問題という大きな制約に直面しています。私たちは新たなエネルギー源を見つけなければなりません。
そこで浮上してきたのが水素(H)です。石油に引けを取らないエネルギー密度を持ち、しかもほぼ無限に存在する。その水素を安全かつ効率よく利用できる技術を開発すれば、日本は「第3のエネルギー革命」の先頭走者に躍り出ることが可能です。
幸い日本には蓄積があります。たとえば、水素を利用して電力をつくる家庭用燃料電池。火力発電などの従来方式と違い、家庭内で発電するため、送電によるロスが生まれません。排熱を給湯などに利用することもできるため、発電所でつくられた電力を家庭に送るよりも、はるかにエネルギーの利用効率が高まります。日本はこの分野で技術や人材の厚みがあります。当社も周囲にまだ「脱石油」の意識が希薄だったころから、このような分野の研究に力を入れてきました。
中国やインドのような新興国でも、水素を使った小型発電所や家庭用燃料電池の需要は期待できます。中国では電話は固定電話でなく、最初から携帯電話が普及しました。インフラが整っていない新興国ほど、送電網などを築くのは難しく、分散型の発電設備の方が適しています。そのために必要な機器やノウハウ、人材を私たちが供給すれば、日本の成長戦略にも直結します。
水素の応用範囲はみなさんが想像される以上に広がっています。自動車の動力源に使えば、排出物が水だけという究極のエコカーが誕生します。年間を通して風が強い南米のパタゴニアのような場所で風力発電を行い、その電力で水を電気分解し、水素の形でエネルギーを日本が輸入することも可能です。水素をエネルギーの主役に据えることで、中東に偏在する石油の時代より日本のエネルギー安全保障は高まるでしょう。
「石油会社が水素社会にかじを切るのは自己否定ではないか」とよく言われます。しかし、当社は石油会社である以前にエネルギー会社なのです。これから世界の化石燃料の消費量は減っても、エネルギー消費の総量は決して減りません。「我々は未来型のエネルギー企業として会社の骨格を変えようとしているんだ」。社員には日ごろからこう呼びかけています。
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「CからHへ」――。変革は大きな挑戦ですが、それは同時に大きなチャンスです。水素の時代を前にして躊躇(ちゅうちょ)するのか、積極的に前に乗り出すのか。日本は選択を迫られています。