

安倍政権は原発依存からの脱却を望んでいる過半数の国民の声に耳を貸さず、ベースロード電源としての原発再稼働にひた走っています。ベースロード電源とは昼夜や風によらず安定的に電源を供給できるという原子力発電の利点そのものですが、3年前に起きた福島第一原発の事故によって、それまで妄信してきた安全神話が崩壊したうえ、使用済核燃料最終処分の目途が立っていません。日本は原子力発電の潜在的危険性について世界にアッピールすべき立場にありながら、それとは正反対に原子力技術の輸出を目論むとはもってのほかと言わねばなりません。
驚いたことに、アラブ首長国連邦アブダビ郊外の砂漠に、全ての電力を再生可能エネルギーでまかなう、二酸化炭素排出量ゼロの未来型実験都市マスダールが建設中だそうです。第1期プロジェクトでは、マサチューセッツ工科大学の支援でマスダール科学技術研究所(Masdar Institute of Science and Technology)が設立されました。研究施設と関係者が暮らす居住区域では、太陽光や太陽熱による発電施設などの運用が既に始まっています。更には、直射日光による熱を遮断しながら採光を確保する外壁や開口部の工夫、風を集める塔やミストを利用して建物を冷やす装置、小型電気ポッドの自動運転による交通システムなど、灼熱の砂漠で快適に暮らすためのさまざまなテクノロジーが試されているそうです。3月11日(火)00:00-00:50(24時間表記)のBS1で、「マスダール・シティの挑戦~砂漠の持続型都市~」が放送になります。是非お見逃しなく。
代替えエネルギーとして期待される再生可能エネルギーは、開発に高コストがかかる、出力は一定しない、送電網の整備に高コストがかるなどの理由で、ドイツやデンマークのような再生可能エネルギー先進国に大きく後れを取っています。これらに理由は当たっているとも言えますが、日本が過疎地に多大な工費と交付金を継ぎこんで原発と人口密集地帯への送電網を構築してきたことを思えば、事故の危険性を内包した原子力発電所建設と比べて決して高すぎることは言えません。出力不安定な点については、大規模原子力発電所のような一極集中型でなく、小規模水力、バイオマス、地熱発電など様々なエネルギーを組み合わせた小規模分散型発電網の構築で対処可能であり、再生可能エネルギー発電所設立のよる雇用創出も期待できす。日本で再生可能エネルギーへのシフトが遅れには、原発依存路線の踏襲による原子力ムラの権力温存が関係しているのではないでしょうか。再処理で取り出したプルトニウムで国産原爆を作りたいという秘められた野望もうごめいているでしょう。
エネルギー科学者エイモリー・ロビンス博士は、日本は先進国の中でも再生可能エネルギー資源に恵まれた国だと言っています。それを生かすには原発再稼働に傾斜した安倍政権に国民世論とマスコミが厳しい批判を浴びせて、方針転換への政治的決断を迫らねばなりません。
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