冬の夜は光が際立ってきて、月も、やけに眩しく感じる。月下の人まで眩しく見える絵もあった。たしか応為だった。月も描かれてはいるが、その下に居る女性が、何やら光を吸って変異してゆく百合みたいに感じる。ちょっと前の月食の日にも思ったことだが、月のチカラは心を少し変えるみたいに思う。(あの日、駅前の人混みが異様にその場に停止して等しく月光に目を注ぐ有様を面白く見て、そのあと稽古だったが、集まった人は踊り、月を見て、また踊って、何だかとても良かった。)
月の諸相を眺めながら思い浮かぶことも考え及ぶことも、太陽の及ぼすそれとは明らかに違う。
反射光だからか、自ら輝く太陽とは全く別の温度感が、見えない針のように降り注いでくる。
月の魔力によって壊れてゆくピエロを歌った音楽があるが、あれはやはり良く分かる。半音階も太陽より月に似合う。月には人を「一人」つまり「身ひとつ」にするチカラがあるに違いない。
身ひとつ、になる時は私自身なるものからも少し遠ざかることができるかもしれない。そうすると何か知らないものがこの体に入ってくるかもしれない。
踊っていると、底が無いような沈黙に入り込んでゆくようなことがある。あれは、なんだろう。イマジネーションと沈黙と月の関係に、なんだか気が向いてく。
コンテンポラリーダンス、舞踏、オイリュトミー
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