かなしいです。
きのう稽古から帰ってすぐ、小澤征爾さんの訃報を知って強いショックを受けました。日本がまた少し暗くなっちゃった気さえしました。
芸術の力を信じることは人間の力を信じることと同じと思うのですが、それを最初に感じさせてくれたのが、小澤征爾さんが振ったボストンシンフォニーの演奏会でした。高校生のときでした。音楽修行の本も好きでよく読んでいたので無理して聴きに行ったのですが、全身が爆発しそうな指揮者の姿とともに溢れてくる無限の音響に金縛りみたくなったのをよく覚えています。あの体験は絶対に舞踊にも繋がっていて、ということは、人生を揺さぶる事件だったのだと思うのです。
ブラームスもマーラーもベルリオーズも、そしてストラヴィンスキーも武満徹も、「オザワがやる」というところから入ったのですから、小澤征爾さんの演奏に出会わなかったら出会えたかどうかわからないような、そういう曲は数えきれません。それから、もう知っている曲でも、この人の演奏会を境に忘れ得ぬ名曲になり、やがて様々なことを乗り越えてゆくためのエネルギーになり、ということも随分と重なっていきました。
この人の奏でる音楽はとても確かに生きることを助けてくれて、この人の存在は僕に「きちんと前を見る」ということを教えてくれたと、深く思います。
このブログにかなり前に書いた演奏会の感想(コチラ)がありますが、この時の音楽はさっき聴いたばかりみたく今まだ響いていて色々なことを語りかけ続けてくれます。
亡くなられたことを知って、悲しくて寂しくてなりません。本当に残念です。
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